第百七十七話 “ 最前線 ” 11-03

昨晩。
公園で野宿した自分達は。  こんな音楽で目を覚ました。

~新しい朝が来た♪ 希望の朝だ♪ 喜びに胸を開け♪ 青空あおげ♪~
ラジオ体操だ。

 
この曲を小学生の夏休み以来。  久しぶりに聞いた気がした。

さて。 テントを撤収し。  市役所に向かう。
AM8:00着。
……。  迎えが来ない…。
突然待ちぼうけを喰らう二人…。
昨日の現場が一緒だった北海道からボランティアに参加しているYAMADAさんが。
待ち切れずに。
市職員用の現地対策本部行きマイクロバスに三人分の席を確保。

バスに揺られる事約30分。
 

何とか対策本部までたどり着いた。



到着して。  だんだん理解してきたのだが。
どうらや昨日は。  急だった為。  市の職員の方と行動を共にさせて頂いたが。
きちんとした災害本部とボランティア受付が奄美体験交流館と言う場所にあり。
ここで受付をし。
その後。  各現場に割り当てられるようだ。

受付を済ませ。  名前が呼ばれるのを待つ。

 

今日は祝日だからか。  (たぶん)50~60人位の方が参加されていたように見えた。

~話しを少し進める~
お昼休憩の後。  再び召集を受けた。  これから二軒目の住宅へ向かう。
事前の説明でこう聞かされた。
『次に向かって頂く場所は、全く手付かずの場所です。』と。
ちょっと驚いた。
災害が起きてから約2週間。  まだ手付かずの現場が残されていた事にだ。
いったい今。
どの位の頻度でこの災害の事がニュースで流れているかはわからない。
移り変わりの早い世の中だ。
もしかしたら。  もうすでに。  "過去の話し"  になってしまったのかも知れない。

しかし。  現状は…
住用町川内。  到着したSさん宅。  中を見て。  ゾッとした。
薙ぎ倒された家具。
泥だらけの室内。


二週間放置された現場には異臭が漂う。

若い人が居るお宅なら。  少しずつでも片付けは進むだろう。
でも。
高齢のご夫婦だけのお宅は?

何とか離れの小屋を片付けそこで生活をし。
今日まで支援を待っていたのだ。
母屋は本当に手付かずだった。
というか。
手が付けられない状態である状況だった。
おじさんは足が不自由で。
おばさんは既に疲れきってしまっている様子だった。

派遣された総勢12名で。  作業にあたった。
夕方までかかり。  すべての物を外に出し。


泥だらけの床を磨き。


ゴミになってしまった日常を。  必死で分別した。



みんな泥だらけで足元はびしょびしょだ。
でも。  みんな報われた。

綺麗になった母屋を見たおばさんのその笑顔に。

明日から。  おばちゃんとおじさんに。  新しい朝は来るだろうか。  
希望の朝は。

さて。
北海道からボランティアに参加されていたYAMADAさんが。
利用していた民宿のおばちゃんに交渉してくださり。  格安の料金で部屋を借りる事が出来た。
食事付きでありえない値段だ。

おばちゃんは。
『私は現場には行けないから、ボランティアに来て下さった方をボランティアします!』
と。
なので滞在中。  おばちゃんの民宿にお世話になることにした。
今日で北海道に帰るYAMADAさんが。
自分とKENGO君に夕食をご馳走して下さった。

 
奄美名物。  鶏飯♪

こうしてまた。
YAMADAさんにも民宿のおばちゃんにも。  お世話になってしまった。
なので。  その分。  明日も。  精一杯。
恩返しをさせていただきます!


今日もありがとうございました!

ではまた!


【現在の報道状況は?】


【思いやり】


【至る所で】


【昼食休み】


【腕章】


【一輪車】


【角と剣】


【おばあさんの話し】