第百六十一話  “ 南へ西へ ” 10-21

唸る風の音が。  一晩中鳴り響いていた。

目を覚まし薄暗い外を見る。
ほっ♪
雨は降っていない。
ただ、相変わらず風は強い。

身支度をすませ。
子猫にバイバイしてから出発。
まずは道の駅へ。
昨日、Mさんが明日も朝からここにいると言っていたので。  お礼を言いに向かう。

道の駅に着き昨日もお世話になった売店の方に挨拶を。

Mさんは何やら打ち合わせ中のようだ。
少し離れた場所からMさんに頭を下げた。
すると。
自分の所まで来て下さった。
『ありがとうございました!』と固い握手をした。

昨日。
ここは島だから。  と、Mさんはおっしっていたが。
Mさんならきっとどこにいても、困っている人に手を差し延べるだろう。
そういう思いやりと優しさの滲み出た方だった。

さて。
早く橋を越えて元のルートに戻らなければ。

早くしないと、橋が強風で通行止めになる。
と、教えてもらったからだ。

そしてこの橋を渡るのに。
今までに経験したことの無いような猛烈な風と闘う事になった。
とても自転車に乗っては渡れない。
自転車を押して進む。
左から吹き付ける風に今にも吹き飛ばされそうだ。

ちょうど。
左側にショルダーチャージをするような感じで足を踏ん張りヨロヨロと…。
風上に顔を向ければ呼吸さえままならない。
着ている服はバタバタとものすごい音を立てている。
背中に背負ったバックパックのベルトが。  風に煽られバシバシ顔にあたる。

痛い…。
が、どうする事も出来ずやられっぱなし。

写真ではとてもこの風の威力を伝えられない。
どう説明すればわかるだろうか。
自分の坊主頭に短い髪形が。  左から右にかけて7:3分けになってしまう位の強風だ(笑)
ツンツンした髪の毛を風に颯爽てなびかせて。

なんとか難所を乗り越え。  ルートに戻った。
それから進路を南に取り。  港町へやって来た。  西へ向かう船に乗るためだ♪

今日はターミナルで一夜を明かし、明日の朝の便に乗ろうと考えていた。
が。
聞いて見ると。  ターミナルは夜閉まるらしい。
どこと無く。  デンジャラスな雰囲気のこの港町。  野宿するにはかなりの勇気がいる。

ふと見た時刻表に。  17時発の便を確認。  島への到着は20時。
決断にそう時間はかからなかった。
島に行こう!
と。

今日はここまで♪

ではまた!