第百六十九話 “ M.I.B ”  10-27

とうに夏も過ぎ。  秋を通り越し。  冬の足音が聞こえ始めた。
こんな季節外れ…

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草木も眠る丑三つ時。
バス停の天井から。  ボタッっと。  何かが降って来たような音がした。
しかし。
恐怖に怯え。  ようやく眠りに着いたばかり。
この時は眠気が勝った。

zzz♪
眠りに着くまで。  徐々に暗くなって行くころから。  やけに怯えていた自分。
何か。
ただならぬ雰囲気を。  どこか感じていたのだろう。

時は経ち。  辺りは漆黒の闇。  明かりは近くの自動販売機のみ。
車の往来もまったくない。
不気味に風が唸り声をあげ。  木々がざわめく。
ガラス張りのバス停。
嫌でも真っ暗な外が見えてしまう。
恐怖心を紛らすために歌ってみても。  どこか尻つぼみになってしまう。
結局、文明社会の象徴とも言える携帯電源をいじくり回して。  気を紛らわしていたら。
貴重なバッテリーを一つ使い果たしてしまった…。

流石にそんな自分が情けなくも、バカらしくもなり。  寝袋にすっぽり収まり。
ようやく眠りに着いたのは午前0時頃だったのだと思う。

草木が眠りに着いた頃。
ボタッっと。
バス停の天井から。  何かが足元に降ってきたようだった。
ん?と微かに目を覚ましはしたが。
寝袋のヌクヌク感に引き込まれ。  そのまま朝を向かえたのだった。

目を覚ますと明るく晴れ渡る空にホッとした。

こうして朝を向かえると。  昨夜の自分の怯えっぷりが笑えてくる。
夜中に聞いた謎の音の事など。  すっかり頭にない。
しかし。
この30秒後。  体中に戦慄が走る事になる。

ベンチの隅の。

ちょうど寝ていた時の足元の。
壁のあたりで。   シャカシャカ♪  シャカシャカ♪  と。   何かが。  うごめいた。

ん?
と、その音の方に視線を送った。
次の瞬間。  ゾクゾクゾクッ!っと。  体中に戦慄が走った。

*食事中・体調の優れない方・心臓の弱い方・高血圧の方等は次の画像は見ないでください。
興味本位で見られ気分を悪くされても責任は負いかねます。
さん

 にい

 いち

 ↓
                       ぱおぉぉぉん♪

マッ!マンモス!?
すみません…   画像を間違えました。

では改めて。
*本気で気分が悪くなるかも知れませんので見たくないかたはスルーしてください。
さん

 にい

 いち

 ↓

                          
                           …・・・・・・・・・・・・・・・  ギャァァァ@;※∽‡ΝΔゑ!!!

左斜め前方に勢いよく。
そして。  鮮やかに跳びはねた。
そこにはこの世のものとは思えない形の生物が…   いた…

一人でパニックに陥る。
セットをぎりぎりドルフィンで交わした直後。
更なる大波が波頭がひらめかしているのを見てしまった時のように…。

怖いなら外に出ればいいものを。
遠巻きに。  遠巻きに。  様子を伺う自分。
しばらくじっと対峙する。
どうやら。
口の中から触手を伸ばして襲ったり。
黄緑色の体を溶かしてしまう強酸性の液体を飛ばしてきたりはしないようだ。
しかし。  とにかく。  自分が今までに見たことのない生物だ。
動きも比較的遅い。

どうしようかと迷ったあげく。  出した結論は。

「放置♪」 ・・・・だった。

ふと。
昨夜の音は…
と。
どうやら。  この生物と。  密室のバス停で。  一夜を共にしていたようだ。
それを思うと。  再び鳥肌が全身を覆った。
つかず離れずの距離を取りながら。  一息付いていた。

そんな時だった。
バス停の真横に車を停め。  中から出て来た男性が。  ニコニコしながらこちらに向かってくる。
も、もしや!
トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスが共演した『M.I.B』を思い出した。
ピカッ!と光る謎の閃光で。
見てはいけない生物を見てしまった人間の記憶を消してしまうのだ。

『やなっちさんですか?』とそのエージェントさんが自分に問い掛ける。
『はい…。』と自分。
『~かくかくしかじか~のAです!ブログずっと見てます♪』と。

そろそろ妄想もいい加減にしよう。
自分に会いに来て下さったのは。  ここ天草のローカルAさんだった。

昨日の日記の最後に、何気な~く載せた一枚の夕日の写真。
たったそれだけで、自分の居場所がわかったらしい。
流石はローカルさんだ♪

温かい差し入れを頂き。  飲み物を飲みながら。
ついさっき。  自分の身に起きた出来事と。  その生物をAさんに確認してもらう。
『あっ!ゲジゲジね(笑)』
『えっ?(地球外生命体じゃなくて)ゲジゲジ?こ、これがですか?』と。

今までゲジゲジ=百足(むかで)の事だと思っていた自分は。
ゲジゲジがこんなに恐ろしい姿をした生き物だとは知らなかった。
昨夜一人と一匹で心細い夜を過ごした自分は。
とめどなく。
べらべらと。
少しおしゃべりになっていた。


Aさんはこう言って下さった。
熊本、天草に来てると知って。
波にも地元サーファーにも会えずにそのまま通り過ぎて欲しくなかったんです。
と。
そう言って下さった。
その言葉と気持ちがすごく嬉しかった。
たまに話しは脱線しながらも。  気付けば三時間近く話し込んでいた(笑)

自分はAさんに見送られながら。
『行ってきます!』とその場を後にした。
*Aさんは恥ずかしいから写真も素姓も明かさないで欲しいと。
そう言っていたので画像はありません。

でも、それってやっぱり…MIB!?
*Aさんお話し出来てよかったです!熊本で天草で波乗りはできませんでしたが、ポイントの波の話しを聞き、地元サーファーさんの話しを聞けてよかったです!
本当にありがとうございました!

さて。
雲一つない青空とはこの事だ♪と思いながら。  自転車を快調に走らせ。
Aさんに教えていただいたPに立ち寄り海を見ながら休憩。


ここはどんな波が立つのかなぁ~と。  考えているだけでワクワクする。
そしてその後。
それなりに険しい峠を越え。


鼻歌も飛び出すような海沿いの道を走り。


熊本~鹿児島へ向かうフェリー乗り場にやって来た。

フェリーと言うよりかは渡し船と言った感じだ。
向こうに見える対岸が鹿児島県。  30分の船旅だ。

出港時間をうろうろしながら待っていると。
キリッっとしたYシャツ姿の男性が声をかけて下さった。
今度こそM!I!B!?と思っていたら。

熊本市内のサーファーNさん♪


『さっき車ですれ違って!ここかな?と思って♪』と。

船が出る直前まで話し込んでしまい(笑)
ギリギリ滑り込みで乗船。
*Nさん!まさか!と言う場所で声をかけて頂き驚きましたがありがとうございました!

さて。
早いもので。  もう鹿児島に着いてしまった。
到着した小高い場所から海を見下ろす道の駅。
地図を片手に。  夕方になり広がり出した雲の隙間から。  こぼれ落ちる光の柱を眺めていた。



すると。  なぜだか。  ふと。  一つの答えが出せた。

ここ最近。
何かが心につっかえていた。
『本当にそれでいいのか?』と。  ずっと自問自答していた、そのある事に。
答えが出せた。
そしたらすごく気持ちが楽になった。
でもそれは。  また今度。  改めてお話しする事にします♪

あぁ♪  今日も寒い(笑)

ではまた!