生還とは大それたタイトルだ。 と、思われるかもしない。 しかし。 自分にとって。 ここから先の数時間は。 生と死の間にいるような。 極限の状況だったとだけ先に記しておこうと思う。 マヤグスクの滝を何度も振り返りながら。 今度は時間に追われながら下山する事になった。 船の出発まで残り3時間20分程だ。 イタチキ川を浦内川の合流地点まで引き返す。 ここまでは簡単な道のりだ。 川沿いに進めばいい。 浦内川の右岸を少し下り始めた頃だった。 やけに道が険しいのである。 草木を掻き分けながら川沿いを進んで行く。 あれ? という小さな不安がみるみる内に大きくなって行くのが手に取るようにわかった。 それはTAKAさんも同じだった。 ピタッと二人同時に足が止まった。 『外れたね…』とTAKAさんが静かに言った。 続けて『さっきの目印の場所まで一回戻ろう』と。 道を見失ったのだ。 何とか目印のリボンまで戻ったのだが。 それでも道がわからないのだ。 左は川。 右は山。 正面は今間違えた道。 行きに通った道が忽然と姿を消してしまったかのようだった。 表向きは二人とも冷静に対処しているが。 実際のところはかなり焦っていた。 何度か行ったり来たりしながらも。 道はまだ見つからない。 いよいよ不安が口から出そうになった時だった。 右の急斜面の山に。 人が通った道らしき場所があった。 その道らしきものを目で追って行くとわずかに赤いテープが視界に入った。 目印だ! ちょっとした心理的作用だった。 自分達は山を降りて船着き場に戻る。 しかし実際は行きにも下りはあったし小さいアップダウンはあったのだ。 下山。 それに捕われすぎ上に登るという事を勝手に選択肢から除外していたのだ。 ともあれ。 ようやく取り戻したルートにひと安心もつかの間。 あれ? これはどっちだ…? そんな場面に何度か遭遇する度に生きた心地がしなかった。 第二山小屋跡地を通り一安心した。 この先は比較的険しいがわかりやすい道だったからだ。 トカゲが木の幹の色に合わせて色を変化させている。 いや。 色を変化させているということはカメレオンなのかもしれない。 |
昨日から事あるごとに撮り続けていた写真は。 |
左足が見た事もない程膨れ上がっていた。 一瞬。 骨折? と最悪のシナリオが頭に過ぎったが。 山岳経験のスペシャリストであるキャンプ場の管理人さんの見立てでは"ひどい打ち身"だった。 数時間後。 少し休んだ所。 何とか杖無しで歩けるようにはなったが。 サーフィンや自転車は少しお預けになりそうだった。 そして。 膝の曲がらない自分には。 和式トイレしかないこのキャンプ場が究極の修羅場だったとだけ最後に書いておこう… ではまた! *今現在、相変わらず膝は曲げ切れませんがゆっくりなら歩けるまでに回復しました。 サーフィンはしばらくお預けになりそうですが。 日本という国の最果てまで何とか自力で旅を続けようと思います。 心配をして下さった皆さんありがとうございました。 |