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第百二十一話  “ OCEANS ” 09-06

函館を出港したのは9時30分の事だ。

ゆっくりと遠ざかる函館を見ながら青森の大間に向かいたかったが。
ものすごい雨で視界不良。  感慨に浸っている所ではなかった。

新しい土地に向かう時はいつも雨だ。
種子島から鹿児島に入った時も。
四国から和歌山に入った時も。
本州から北海道に入った日も。

思えば全部雨だった。

しかしまぁ。  今日の雨は強烈だった。
でも出だしは躓く位がちょうどいい。  物事は順調過ぎても面白くないのだ。

大間に着くとムワッと蒸し暑い。
雨は降っていないが今にも降り出しそうだ。  雨雲が迫って来ている。
ひとまず走り出す。

途中、こんな看板を発見。



ほほぅ~♪  ハワイまで6000㌔かぁ♪  道さえあればチャリで行けるなぁ~(笑)
と、そんな事を考えていると。  雨が降り出した。
しかも雷がゴロゴロとかなり近い。
徐々に強まる雨。  激しさを増す雨。  狂ったように降る雨。



そんな時。
屋根付き壁付きのバス停が目に止まり、すかさず逃げ込む。

その直後ドカーン!と雷が近くに落ち。
ものの例えではよく聞くが、まさしくバケツをひっくり返したような雨になった。
雷も1~2分間隔であちこちに落ちている。

めりめりめり♪  バキバキバキ♪  と轟音を響かせ地面は揺れる。
バス停の中でどうする事も出来ずにただただ嵐が過ぎるのを待つだけだった。



一時間近くバス停に避難していただろうか。  少し雨も落ち着き、北の空が明るくなってきた。
『行くか♪』と自転車にまたがり走り出す。

途中。  この豪雨で土砂崩れがあったようで。  警察と工事車両が緊急出動していた。

天気は一気に回復傾向。  雲の切れ間から太陽が見え。
道路を金色に染めていた。



当初。  今日中に辿り着けるかな?  と思っていたむつ市に夕方頃到着。

ある場所を探す。
ある場所とはOCEAN'S。

伊良湖のBALI HIGH Mさんに紹介していただいていたKさんにお会いする為だ。
むつ市は予想以上に広く探すのは大変かと思いきや。

巨大な看板をあっさり発見♪



いつもの悪い癖だが。  またもやアポなしでお店を尋ねる。
一歩店内に入って見ると。  広いっ!と言うのが第一印象だった。

『こんにちは!』と場違いな大声で挨拶してみると。
お店の奥の方から声がした。
OCEAN'Sの店長のてんちょ~さんだ(笑)



『はじめまして!~かくかくしかじかで~Kさんにお会い出来たらと思いまして。』
と、言うと。
今外出中で明日はいるとの事。
ひとまず連絡先を伝え、明日お店に立ち寄る為に近くに宿を探す。

近くに格安の旅館を見つけ洗濯やら荷物整理に追われていると。
プルルルルン♪『今(Kさんが)帰ってきて、遊びにおいでって言ってます♪』と、てんちょ~さんから連絡を頂いた。

そしてOCEAN'Sさんを再び訪ねる。
と。
Kさんがそこにいた。
『はじめまして!』と挨拶をすると。
『まぁあがれ!』と店舗2階のプライベートエリアに招いて下さった。

Kさんの後に着いて階段を上がって驚いた。



うわぁ~!広い!!
まさかショップの2階がこんなスペースになっているとは思っていなかったのでびっくりだ。

間髪入れずにビールが出て来て。  『いただきます!』と。
リゾートホテルのロビーのような空間で、すごいオーラを身にまとったKさんとお話しする事が出来た。

サーフィン歴40数年。
始めた当時はサーフィンと言うものは世間に認知されていなかったと。
リーシュもなくワックスもなく。
ワックスがわりにろうそくを塗っていたらしい。
湘南に行ってもサーファーさんはおろか、家もほとんどなかったらしい。

その後。
ビル屋上のプライベートビアガーデンに場所を移し再び乾杯。
そして3階のラウンジでお寿司と焼肉をご馳走になっていた。



一年程前に肩を骨折し、今はリハビリしながら片手で波乗りをしているらしい。

Kさんは不思議な感覚を持っている方だった。
視野が広く小さい事には捕われず。  でも、こだわる所にはトコトンこだわる。
そんな感じだ。

プライベートルームにも招いて下さり。
ここはハワイ?
と錯覚しそうになりながらたくさんお話しを聞く事が出来た。



やはり。
レジェンドと言われる日本のサーフィンの礎を築いて来られた方と話ができる事は。
すごい刺激になる。

今朝。
OCEAN'Sさんに挨拶をしに行くと。
てんちょ~さんがお守りがわりのステッカーをプレゼントして下さった。



てんちょ~さんはえらくハコブンダ~が気に入ったようで、ちょっと本気で購入を考えているようだった♪
お礼を言いOCEAN'Sさんを後にした。
*Kさん!奥様!てんちょ~さん!突然訪ねたにも関わらず快く迎えて下さり本当にありがとうございました!

さぁ!
今日はいい天気だ。

ひとまずコインランドリーで乾燥機をかけていると。
八戸でお会いし、ホヤをご馳走になり、そして北海道にいきなり旅に出て会いに来てくれたCさんから連絡が♪
昨日は一昨日フェリーで青森に着いた歩き旅のKENGO君に会いに五所川原まで行っていたそうだ。

むつ市から太平洋側に出た辺りで久しぶりに再会することが出来た♪

そして今。
波の音が聞こえる海の近くでのんびりと♪
今日はここで二人でキャンプをする事にした。

ではまた!

 

第百二十二話  “ 風の匂い ” 09-08

昨日。
Cさんと波乗りをした。
サイズは。  くるぶしセットすね。
そして強烈なオフショアの波だった。

数年振りのサーフィンで意地でも立つ!とむきになるCさん(笑)
たまに来るセットに二人で全力でパドルする。
少しでも。  海で笑顔で過ごす時間があれば十分だった。

自分達が海から上がると。
遠巻きに見ていたカモメが波のピークの取り合いをしていた(笑)



そのまま。  その海岸でキャンプする事にした。



相変わらず風は強く吹き付け肌寒いを通り越し寒い…。
まだ9月にも関わらずダウンを着込む。

この先が不安だ…

日没前には飲みはじめ。
暗くなる頃にはランタンの明かりに作られた優しい空間の中でいろいろ語り合っていた。



似たような経験を持つ二人で。  ついつい過去の話しになる場面もあった。
そんな時。
Cさんは言った。  『人生も波がなければ面白くねぇ!』と。

この言葉。  何だか最高だった。

人生の中でお化けセットをくらい海中に沈められ、もう二度とはい上がれないと思うような事もあった。
でも、波に背を向けて逃げずによかった。
どんなに惨めでも見苦しくても。  必死にもがきパドルする。
そしていくつもの波を乗り越えてアウトに出た時。

そこには。
その波を乗り越え成長した自分と、次の目標がある。
『あのセットに乗ってやる!』と。

夜。  ふと見上げた空には満天の星。
Cさんは。
『ここらはな~んもねぇからなぁ~』と、言っていたが。
何もない場所だからこそ。
存在するものもあると知ったのは昨日の夜だ。

今朝。
東の空が真っ赤に焼け。



西の山から吹き下ろす風はひんやりと冷たい。

やがて昇って来た太陽はその力を誇示するかのように大きかった。



カラッとした青空。



今日は最高に気持ちいい。
期待に胸を膨らませ。  いくつかのポイントに足を運んでみたものの。
期待通りには中々行かないもので。



下北半島のコーストラインを三沢まで下り。
その後内陸にハンドルをきった。
つまり。
青森の太平洋側の波はまたの機会のお預けにした。
波が上がるまで待てば、当たり前だがサーフィンは出来る。
でもこの旅は。
自分が海に着くタイミングと、波がやってくるタイミング。

そこに出会いが必要だ。

彼等は海を旅して。  自分は海岸線を旅している。
たくさんの旅人と巡り会ったように。  波とも巡り会うのだ。

待ち合わせをして出会う旅人はいない。
次の出会いに巡り会う為には。

行動あるのみ。

旅を進めなければ。  次の出会いはない。
そんな思いでハンドルを内陸に向けた。

少し早めに当初とは掛け離れた目的地に着き。  今、日記を書いている。
なんとなく冷たい風が心地好い。
あぁもう夏も終わるんだなぁ。
と。
何だか少し寂しい気分にさえなる。
そんな秋の匂いのする風。
春に沖縄を発ち。  伊豆で梅雨入り。  岩手を抜ける頃梅雨が明け。
短い夏を北海道で過ごした。

この先。  どこで秋の深まりを感じ冬の厳しさを感じるのか。
何だかしんみりと(笑)
そんな事を考えながら今日の日記を書き終えるとします。

てか寒い!  ダウン♪ダウン♪
…何だか。  冬の厳しさを知る日は近そうな気がする…

ではまた(笑)

 

第百二十三話  “ てるてる坊主 ” 09-09 & 10

昨日、今日と。
カラッとした秋の青空の下を。



ただただ移動していた気がする。
下北半島の小川原湖の道の駅を発ち野辺地町~浅虫温泉~青森市~五所川原市~つがる市と。

国道は狭く交通量は多い。



あぁ本州に戻って来たんだなぁ~。
と、変な所で北海道を懐かしく感じたりする。

青森市が近付き乱立するビルと先を急ぐ車や人。
自然の静けさより都会の喧騒が孤独を感じさせるのはなぜだろう。
自分の居場所がここにはない気がするからなのか。
それともそこに現実の厳しさが見えるからなのか。

それが理由かはわからないが。  なぜか気分が乗らない。
つまらないと感じる訳でもイライラする訳でもなく。
自分から感情というものが無くなってしまったのでは?と思うくらい淡々と。

恐らく無表情で。  ただただ走り続けた。
そんな時は楽しい事も新しい出会いもない。

急に涼しくなり、暑さに負けないようにと張っていた気も緩み疲れが出たのだろうか。
下手すれば居眠りしてしまいそうになりながら自転車をこぐ。

岩木山から吹きおろす風が津軽平野に吹き荒れる。



今日はここまでにしよう。
と、道の駅で足を止めた。
こんな日に無理すれば事故や怪我をしてしまいそうだ。

晴れ。  曇り。  雨。
天候も変わるように人の気分も変わるもの。
昨日、今日の自分はどっちつかずの曇り空と言った所か。

明日の天気はわかっても。  自分の気持ちはわからない。
今日は心にてるてる坊主でも吊してゆっくり休む事にしよう。

明日は晴れますように!と願いながら。

ではまた。

第百二十四話  “ 力ヲ与エテクレルモノ ” 09-11

自分の単純さに笑いが込み上げる♪

昨日の日記を書き終えてしばらくすると。
てるてる坊主の効き目はすぐに現れた。

『やなっちですか!?』とそこに現れたのはたーぼーさんと娘さん&あんちゃんさんだった♪
『千葉の辺りからブログみてます!』と、たーぼーさん。
真木 蔵人さんの大ファンらしく、自分が千葉でお会いした時からブログを見てくれていたらしい。

あれこれ話した。
この辺りにもポイントがあると聞いて驚いたり。  その波画像を見てもっと驚いたり♪

ふと気付くと。  すっかり元気になっている自分がいる。
そう。
その自分の単純さに笑いが込み上げて来たのだ。



たーぼーさん達が帰った後。  日も暮れ。  早々に寝床の準備に取り掛かっていると。
暗がりから。
『やなっち?』と、声がした。
顔は見えないが姿形からあんちゃんさんだとすぐにわかった。
『"きみ"持って来たよ!あっ、"きみ"ってわかる?』と、あんちゃんさん。



『はい!○○○○○○♪ですよね!』

北海道を走っている時。  [とうきび]とかかれた看板を良く見かけた。
最初はてっきり。  さとうきびかと思っていた。
えりもでイチローさんに会った時。
謎がとけた。

逆に言えばえりもに着くまで知らなかった…。

とうきび  とうきみ  きみ
などと呼ばれているのは。  とうもろこしの事だった。

あんちゃんさんから。  熱々茹でたてのとうきみと、桃を頂いた♪
*あんちゃんさんごちそうさまでした!ゆっくり話しはできませんでしたが、あんちゃんさんの人柄からこの辺りのポイントの雰囲気もわかった気がしました!

あんちゃんさんが行った10分後。
『やなっち?』と、またまた暗がりから声がした♪

たーぼーさんだ♪
さっきは一人だった娘さんが二人に増えている(笑)
『ほら!やなっちだよ!』と、娘さんに自分を紹介するたーぼーさん。

娘さん・・・『…。』   
とても正しい反応だ。

ビールとお寿司と非常食の差し入れを持って来てくださり。
たーぼーさんはノンアルコールビールで乾杯♪  今度はゆっくり話が出来た。

どうやら。 函館のTAKKEさんの言葉を借りれば。
たーぼーさんとは波長が合うらしい♪

話をしていて。  すごくリラックス出来たし。  居心地がよかった。
またこんな話がすごく嬉しかった。
『自分が元気の無いとき、ブログを見て頑張ってる姿をみると、あぁ俺も頑張らなきゃ!って思うんです!』

その言葉は何よりの励みだ。
そして、今こうして目の前で自分が元気をもらっている。
真木 蔵人さんが自分に言ってくれた事だ。

Give & Take

もちろん50:50とは思っていない。
10:90くらいで自分の方がより多くの力をもらっている。
残りの40は自分のこれからの人生の中で返して行きたい。
そしてそれが目標となり原動力になる。



*たーぼーさん&娘さん
楽しい時間とたくさんの力をありがとうございました!
いつかたーぼーさんのホームの波で一緒に楽しく波乗りしましょう!

たーぼーさんと娘さんを見送り。  しばらくすると。
また暗がりから声がした。
『やなっち?』と。

えっえっ?今度は誰?  と、思ったら。
さっきたーぼーさんが一番の波乗り仲間だと話していたKさんだった。
娘さんのEちゃんと一緒に差し入れを持って来てくれた。
『Kと一緒に波乗りしてる時はどんな波でもなんか楽しいんですよね(笑)』と言っていた、たーぼーさんの言葉通りの。
優しい雰囲気でリラックスした明るい人だった。



*KさんEちゃん。わざわざ会いに行て下さりありがとうございました!
つがるでは波乗りできませんでしたが皆さんに会えた事でいつか一緒に波乗りできる気がします♪
ありがとうございました!

こうして。
この日の夜は代わる代わる訪れてくれたサーファーさんのお陰で楽しく過ごす事が出来た♪

就寝。

夜中。  雨の音で目を覚ました。  
『あれ?雨は午後からじゃぁ…』
予報より早くそして激しく降り出した雨。  それは明け方になっても変わらなかった。

雨の出発。
1時間も走ると。  体はびしょびしょになった。
立ち止まろうものなら寒くて震えてくる。
たーぼーさんやあんちゃんさんに教えてもらったポイントをチラチラ見ながら進んで行く。

しばらく走った頃。  急にソワソワとしたした。  ん?なんだっけ…今日は…あっ!
時計を見ると8時40分。
利尻岳に登った時の番組が放送される日だ!

雨宿り出来る場所を探す。
ダメもとでワンセグを試してみる。  う…映った♪

『小さな旅』が始まった。  一気に利尻島で過ごした日々が蘇る。
『あっ!TOSHIYAさん(笑)』
さらに。
『あぁ!KOUJIさん!ちゃっかり映ってるし!(笑)』  と一人で爆笑♪
何気に自分も写るかとドキドキしたが何事も無く終了…。

流石はテレビ。
自分がデジカメで写した景色とはまるで違う。
しかし。
高価な機材を使って撮影しても。
自分の目で見た景色+その時の気持ちはハイビジョンをも上回る。

番組を見終わると。
さっきまで寒さにガタガタしてやや弱気になっていたにも関わらず。  体中に力がみなぎってきた。

そこから。  自分でも驚く程走った。
途中の看板にさらに驚く。
秋田県?



えっ?青森県終了?
北海道で完全に距離感?見たいなものが狂ってしまったようだ。

夕方。
道の駅に到着。
雨が凌げる場所に寝床を作る。
ずぶ濡れの服を着替えると。   生き返った気がした。

こんな事にさえ生きていることを実感させてくれる旅だ。

今日は早めに寝袋にくるまり。  寝る事にした。

ではまた!

 

第百二十五話  “ らしさ ” 09-12

天気予報を見て。
明日も一日雨かぁ…。  と、思いながら早めに眠りに着いた昨日の夜。

朝。  意外な天気に少し驚いた。



快晴♪

しかしオフショアがかなり強めに吹いている。
波はなさそうだなぁ。
と思い。
早起きはしたものの。  ダラダラと片付けゆっくり出発した。

昨日はなんだかんだで、雨の中を100㌔以上走り。
能代市のすぐ手前まで走っていた。

まずは海の方に出てみる。
情報を頂いていた発電所を探して見る。

最近。
自分で思うのだが。
ポイントを探し出す感覚がすごく鋭くなっている気がする(笑)
ふらふら~っと感覚に身を任せて走っていると。



自然とポイントへたどり着く。
サーフポイント探索レーダーでも備わったのだろうか。

まぁ…その話しはいいとして。
やはり強烈なオフショアで波はフラット~くるぶしくらい。



サーファーさんの姿は無く。

しばらく海を眺め。
ここで立つであろう堤防脇からのレギュラーを勝手に想像してみたりする。

さて移動だ。
今日はなんだかスピードに乗らない。
スピードメーターを見ると昨日と同じくらいの速度で走っているが。
体に感じるスピード感がない。
そもそも。
スピード感を感じる程速くないのだが。  昨日感じていた風を今日は感じない。
勢いに乗って速度が上がっても。  それを持続するエネルギーがないらしい。

まぁこんな日はのんびり行こうと、のろのろ走る。

大きな交差点で信号待ちをしている時だった。  急に耳元で声がした。
『こんちは~!』と。
びっくりして後ろを振り返ると。  もっとびっくりした。

わぁお!♪

そういえば北海道辺りで噂に聞いた気がする。
人力車みたいな自転車で走っている人がいると。
『かっこいいですね~!それ♪』と、自分。
なんだか他のチャリダーさんより、さらに親近感を感じる(笑)

道端にお互いの愛車を停めあれこれあれこれと♪



MITSUIさん。
愛車はバングラデシュのタクシー。  [リキシャ]というらしい。
写真家でもあり作家でもあるらしく。  今までに本を数冊出しているようだ。
立ち話しもなんなので。  走りながら大声で会話する。
だいたい旅の苦労は似たり寄ったり。

しばらく一緒に走り。



お互いの検討を祈りながらそれぞれの旅に戻った。

一風変わった旅人に会えた事が、なんだかすごく嬉しかった。
情報に流され。  流行に追い縋り。
自分の個性がなんなのかが良くわからない時代に。  例え他人からどう思われようと。
自分のスタイルを持っている人に出会えるのは嬉しい。
自分らしく生きる事。  それは自分に素直になればいい。
と、自分はそう思う。

MITSUIさんが書いた本を旅が終わったら読んで見ようと思う。
MITSUIさんがなにを感じ、なにを思いながら旅をしてきたのか興味が尽きない。

さて。
次の出会いはMITSUIさんと別れた直後だった。
道端に車を停めて微笑んでいる人がいる。
『前にKーSURFのHPで見ました!もうここまで!』と声をかけて下さったのはA1さんだ。



少し話しただけで。
あぁ。  A1さんも波乗り大好きなんだなぁ~♪と気持ちが伝わってくる人だった。
差し入れと、ここから先の幾つかのポイントを教えてもらった。
やはりポイントや波の情報は出会ったサーファーさんから聞く方が、よりリアルだ。
『また海で会えたら一緒に波乗りしましょうね!』とA1さんお別れした。

再び走り出すとだんだん怪しくなる雲行き。  予報がずれたのか?今夜から大荒れの予報だ。
今日は体を休めよう。  と、雨が降り出す前に宿に滑り込み。
たまった洗濯ものをぐるぐるし。

そして今はウトウトと。
なので今日も早めに眠りに着くとします。

ではまた!

 

第百二十六話  “ Japan Sea 1st ” 09-13

朝起きてから。  かれこれ一時間。
ずっと天気予報とにらめっこしている。

秋田に。  大雨洪水雷暴風波浪警報が出ている…。
これだけ警報が連なると。  さすがにヤバいかな…。
このままここにもう一日滞在しようか?
と、弱気になったりする。

ふと。  KENGO君はどうしてるかな?
と、彼のブログをのぞいて見ると。  同じようにどうしようか迷いながらも。
一歩一歩着実に進んでいるようだ。

だよなぁ(笑)
と、KENGO君のブログを見ながら元気をもらった自分は身支度を済ませ宿を後にした。

外に出ると小雨は降っているものの。  風は弱く。
大雨洪水雷暴風波浪警報を感じさせるのは重くたれ込む厚い雲だけだ。

行ける所まで行こう!  と、走り出す。

海沿いの道に出ると。  なんとな~く小さいうねりらしきものが見え。
場所によってはすね~ひざくらいの波がブレイクしている。
風はゆる~いサイドオフ。
しかし。
この後の予報ではオンショアがびゅんびゅん吹き荒れる予報だ。
運が良ければジャンクになる前に少し波乗りが出来るかも?
と、淡い期待に胸を踊らせ、昨日お会いしたA1さんのホームブレイクFを目指す。

11時くらいだったろうか。
Fポイントに到着。
A1さんの姿を探すもいないようだ。
まぁ。  波があればきっと会えるだろうと。  変な確信はあった。

駐車場のサーファーさんに挨拶をして海を見に行くと。
目に飛び込んで来た景色は日本らしからぬ風景だった。

わぁお~♪
なんだかCaliforniaにでも来たかのようだ。

波は腰くらい。



今まさに海へ向かおうとしているサーファーさんに。
『おじゃましてもいいですか!?』と聞くと。
『全然問題無いですよ!』と快く受け入れて頂いた♪

そうとなれば自分でも驚く程の早さで着替えを済ませ。  気付けはビーチにいた♪

『いただきます!!』
と、海に挨拶をしゲットアウト。
北海道の日本海側の波には乗らせて頂いたが、あくまでも北海道の海であり利尻島の海。
自分の中ではこれが記念すべき日本海初サーフィンだ♪

こんな素敵な雰囲気な場所でメローに波乗りが出来るなんて♪♪
と言う期待は儚くも裏切られた。

いい意味で♪



海に入って10~20分。  急激にサイズが上がって来た。
こんなに短時間でここまでサイズが上がってくるとは思わなかった。

最初のセット胸。  そして肩。  頭。

気付けば最初は自分を入れて3人だったサーファーさんは7~8人になっていた。
ビーチブレイクでこのサイズになると。
波に乗って沖に戻る時。
インサイドは。



ドルフィン道場と化す♪
久々のドルフィン連発。
サイズアップと共に流れもきつくなり。  休む事なくパドル♪パドル♪パドル♪
そして腕はパンパンに(笑)

ちょっと休憩。
と、ビーチに流木の如く打ち上げられる。

ちらっと桟橋の方を見ると。  見たことのあるシルエットが♪
あっ!A1さんだ!!

桟橋をよじ登りA1さんと再会♪



『波、最高だね!!こんな波中々無いよ!』と、A1さん。



この波の良し悪しをその笑顔物語っている。
続々とローカルさんが集結しだしたので自分はそのまま観戦に♪

ローカルさんのセッションを桟橋から観戦。





いつもと違う角度から見るサーフィンはなんだかすごく新鮮だ♪





サイズもセットは頭オーバーになり周期も短い。
こうなると。
やはり皆さんゲットがハードなようで。
波に乗り。  ビーチへ出て。
桟橋からダイブしてピークを目指す。



このローテーションが繰替えされる。

そのダイブの様子をじっくり観察。



ふむふむ♪
そして自分も桟橋からダイブし、2ラウンド目。
皆さんの邪魔にならないようにメインのレギュラーの反対のグーフィーをちょこちょこと。

しばらくすると。  いよいよパドルがきつくなり…。
A1さんに『次であがります!』と声をかけ波に乗り。
またしても流木の如くビーチに打ち上げられた自分。
A1さんも『ちょっと休憩』と海から上がって来た。

駐車場に戻り。
回りのサーファーさんと一緒に楽しく談笑♪

笑い話は一向に尽きない♪



*A1さん&Mさん&お名前を聞き忘れてしまいましたが、自分と同じくフルスーツで海に入り暑くて暑くて仕方なかったサーファーさん♪
他にもたくさんのサーファーさんに声をかけて頂き応援して頂きました。
皆さん本当にありがとうございました!

楽しい時間は経つのが早い。
日が暮れると移動が危険になるので。  皆さんに挨拶をしてFポイントを後にする。

目的地へ向かう途中に。
A1さんが教えて下さったサーフショップ Pluning Surfさんに寄って行く事にした♪

市内に入り。  うろうろさ迷っていると。
さっき海でお会いしたNoticeone wetsuitsのHさんの車がrock side SURFさんの前に停まっている。

訪ねて見る♪
するとrock side SURFのYさんがステッカーをプレゼントして下さった。



*ゆっくりお話はできませんでしたがステッカーありがとうございました!

HさんとYさんにPluning Surfさんの場所を聞き。
またしてもうろうろさ迷いながらも路地を曲がりどんぴしゃでPluning Surfさんを発見♪
『こんばんは!』 と訪ねて見ると。
『おっ!来た来た♪』とオーナーのYさんが笑顔で迎えて下さった。
どうやらA1さんが連絡しておいて下さったようだ。

ショップに入って見ると。  端っこの棚の上に遠慮がちにたくさんのトロフィーが飾られている。
柱や梁にはサインの数々。
この場所にはいつも笑顔のサーファーさんが訪れるのだろう。

壁に貼られている写真がその証拠だ。
きっとYさんの雰囲気に誘われてこの場所に集まって来るのだろう。  と、そう思った。

ショップにいらしたローカルさんかと思っていた方は。
湘南から来ているSPICE (サーフ系アパレル)の社長さんだったようで。
思わぬ所でDOVEのTさんや北海道の話しになったりした♪

辺りも暗くなりだした頃。
YさんとSPICEさんが自転車にいたずら??





では無く。  自転車に残された僅かなスペースにステッカーを♪

Pluning SurfのYさん始めショップの皆さんそしてSPICEさん。快く迎えて下さり本当にありがとうございました!



さて。
今朝さんざん心配していた大雨洪水雷暴風波浪警報。
結局。  何事も無いまま。
いや。
波とたくさんの人との出会いを届けてくれた低気圧。

やっぱり。  今、目の前にある事が事実であり現実で。
如何に科学や技術が発達した時代でも。
その情報だけに左右されるべきじゃないんだなぁと。
そんな事を思った今日の一日だった。

ではまた!

 

第百二十七話  “ ここ、西目ですよね? ” 09-14

道の駅の24時間解放休憩室でぐっすり。

目的地の道の駅に着く度に。  『今日のお宿はどんなかな~♪』とワクワクする。
本州に入りライダーハウスはおろか、キャンプも少なく。
やはり頼みの綱は道の駅となる。
その中で昨日のような道の駅は本当に助かる。

さて。 
4時57分
目覚ましをセットした三分前に起床。  何だか電子機器に勝ったようで嬉しい♪

薄明るい空の下。  海を目指す。  走りながら感じる風はオフショアだ。
後はどれだけ波が残っているか。  ドキドキしながら海を目指す。

少し走ると。  T字路に差し掛かる。
昨日、Pluning SurfのYさんに西目Pへの行き方を教えて頂いたが。
一晩寝たら忘れてしまった…。

右か左か。  直感を信じて右へ曲がる。
しばらく行くと。
サーフポイント探知レーダーが反応した♪

『ここだ!』

海に入る道を見つけ砂利道を進んで行く。  そして奥へ奥へと進んで行くと。
あっ!
そこには数人のサーファーさんと。
オフショアで見事に整えられたクリーンな波が。



おぉぅ♪
しばらく様子を見る。
ワンピークでレギュラー&グーフィーどちらも行ける♪
しかし自分はグーフィーの波に釘付けだ。

昨日Yさんに『明日、海入りますか?』と聞いた時。
当たり前さ♪と言わんばかりに頷いていた。

自分が早く来過ぎたのか。  Yさん達の姿は見当たらず。
しばらく、到着を待つものの。  この波を目の前にしては…(笑)

『いただきま~す♪』
海にいたサーファーさんに挨拶をする。
皆さん笑顔で返してくれる。

最初の20分位。
何本かチャレンジするもタイミングが掴めず…。

しかしやがて慣れ。
ワンピークなので。  残った波を分けてもらいながらグーフィーばかり乗っていた♪

徐々にサーファーさんも増え始めたので。
海から上がりカメラのシャッターを切りまくる。









しばらく夢中になっていると。
さっき海の中で話しかけてくれたサーファーさんが上がって来た。
挨拶をしてあれこれ話す。

Oさん兄弟さん♪



そして。   ふと。
『ここ、西目ですよね?』と聞いてみると。
『西目はあっち(笑)』と南の方を指指した。
『えっ!?じゃあここは!?』
『風車♪ほら、そこに風車あるでしょ(笑)』とOさんが風車を指さした。



とは言え。
ここが西目Pじゃ無くても。  こうしてサーファーさんに出会い、波にも出会えた。
全くもって問題ない♪

すると。
『西目。すごいいい波割れてたよ!行かないの?』とOさん。
この波を目の前にして、いい波とはいったい西目Pはどうなってしまっているのか。

もう訳がわからない…。

O兄弟さんは頑張ってね!と応援して下さり、そして再び海に向かって行った。
*皆さん声かけて下さったり応援して頂いてありがとうございました!

西目に行こう!と自分は走り出す。

途中。
ややオフが強くなりはじめた。
日本海のサイズダウンは早いと聞いていた事があるので全力でペダルをこぐと。
10分で着いた(笑)

こんなに近かったとは。

駐車場を見ると昨日お会いしたSPICEのAさんの姿が見えた。



『おはようございます!』と挨拶。
その奥にはYさんの姿も。
『昨日はお世話になりました!』と、挨拶すると。



『おぉ。』と優しい笑顔。
続けて『入らないのか?』
とYさん。
今すぐ入りたかったが。  何とな~く体が重いので。
少し休憩と様子を見てから入る事にした。







Yさんが海に入ると。  Yさんを頂点に綺麗な三角形が出来た。

以前。
伊良湖のロコPでも同じ光景を見た。  歴史と伝統のあるPの証明だ。

しばらく見ていると。
セットの間隔が長くなりだし、オフが強まりサイズがだんだん下がって来た。
そんな中で。  じっと頂点で波を待ち続けるYさん。

そして。  セットが来た。
テイクオフするYさん。
どこにも力が入っていないかのようなリラックスした波乗り。



自分が目指すスタイルだ。
そのライディングを見た直後。   ウェットスーツに着替えていた。

久々に活気のあるPに入り少し戸惑ったが。
やはり余った波を分けて頂き何本か波に乗らさせて頂いた。
サイズのピークは過ぎてしまったようでダウン傾向だったが。
青空の下、この雰囲気で一緒に波乗りさせてもらえた事が嬉しかった。

海上がりに皆さんにおねだりして写真を一枚♪
Yさんには差し入れを頂いたり、色々お世話になってしまった。

出発前にお礼を言いに行くと。
『とにかく。無事にゴールすることだな。』と静かに笑いながらそう言って下さった。

*Yさん始め西目Pの皆さん!楽しい時間をありがとうございました!



今日の日記はここまでで♪

ではまた!

 

第百弐十八話  “ 証明 ” 09-15

昨日は。
午後から体調が優れず…
鼻が詰まり、ズルズル~♪っと鼻水が…
全身が怠くペダルをこぐ足にも力が入らない…。
集中力も途切れ途切れ…。
体の節々なのか筋肉なのかそこら中痛い…

ありゃ…。  これは…  風邪かなっ♪

今まで。
あいつは何があっても生き残るとか。
やなっちは野生に帰ったとか。
こいつはちょっとおかしい(笑)
などと言われて来たが。
ここで風邪をひけば、自分がバカじゃないと証明出来る♪(笑)

晴れ渡る空の下。
大事をとって宿にお世話になる事にした。
ここで風邪が悪化すれば色々面倒だ。

近くのスーパーで栄養剤を買い宿に行く。
日記を書き終え。  栄養剤をクビっ♪と頂き。
直ちに睡眠♪

zzz…。

パチっ♪  目が覚めた。
ふぁ~♪良く寝た♪
なんて清々しい朝だろうか♪

窓を開けると鳥海山が見守ってくれている。



*↑宿から見た鳥海山ではありませんので悪しからず。

部屋のテーブルに置かれた栄養剤の瓶を見て。
なぜ自分が宿をとったか思い出した。

あっ…風邪は?
バカじゃない証明をしてくれるはずの風邪は?

………治ってる。

てか…。  もしかして…。  鼻水と思われたのは。
波に巻かれた時に鼻から入った海水?

全身の倦怠感&体の痛みは…単なるサーフィンのやり過ぎ?
それに伴い低下してしまった集中力?

あぁぁ…。  ……。  風邪じゃなかったのか…。
いや。  風邪はひいたが、すぐに治った♪
と言う事にしておこう…。
宿のおばちゃんに挨拶をして出発。

鳥海山を左に見ながら20㌔程走ると。  
山形県の看板が。



楽しい思い出をありがとう♪
と、秋田県に感謝しながら山形県へ。

さて。
今日の目的地はどうしよう?。
と、ある程度走り出してから、そんな事を考えるのである。
やはり。  1~2時間走って見ないと、今日の自分の調子がわからないからだ。
病み上がり??なのであまり無理しないように近場にしよう。
と、勇気ある決断をするも。

なぜかスイスイ♪っと足どりは軽く。
午後1時半に目的地付近に着いてしまう…。

どうしよう…。
左に行けば最初の目的地の道の駅まで10㌔位。
ただ、やや内陸に入ら無くてはならない。
真っ直ぐ海沿いを行けば。  後40数㌔で道の駅がある。
日没まで後4時間半。

途中で30分休憩して4時間。  一時間10㌔ちょいペース♪
地図で見る限り険しい峠道もない。
ちなみに。
このような時間と距離の計算は日常的に頭の中で行われている。

これなら行ける♪  と、颯爽と走り出した直後。
ガタン♪ガタン♪と。

あっ…。  パンクだ…。
ハコブンダーの左の車輪がパンクした。
慌てて広いスペースを探し。
荷物を撒き散らし修理開始。



パンクは治したが時間を大分ロスしてしまった。

残り3時間。  距離40㌔弱。
やばい…急がねば…。
ペースを上げて息を切らしながら疾走する。

空を茜色に染める夕焼けを見る余裕も無く。  ひたすら走る。
足がパンパンになり。  5分だけ休憩!と一休みした直後だった。
反対側から一人のチャリダーさんの姿が。
少し遠い場所から手を上げて挨拶する。
そして近づいて来たチャリダーは。

このおじさん♪



65歳♪
愛媛の松山から岩手の盛岡で行われる同窓会に出席する為の旅らしい。
二年程前まで体調を崩し。  ほとんどまともに動けず。
でも今年の6月から回復しだし。
今、自転車でこうして走っている。

『みんなに元気な姿を見せなきゃな(笑)』と。
自分まで、おじさんから元気とパワーをもらった。
別れ際の握手は痛い位だった。  慌てて自分も手に力を込めて握手した。

おじさんと別れた後。
おじさん!最高だな♪
と。
急に笑いが込み上げて来た。  体に力も蘇って来た。
多分。
人に元気を与えれば与えれるほど。  自分が元気になれる。
そういうものなんだろうな♪
と、思ったりした。

日没直前。  目的地の道の駅に到着した。
夕日のご褒美付きで。



そうそう。
この道の駅って山形と新潟の県境付近なんだよなぁ…。
山形のサーファーさんには会えなかったなぁ~。
とは思わない。
確かに山形で波乗りはできなかったが。
自分はすでに山形のサーファーと友達だ。



西伊豆に板前の修行に来ていたつっちー。
元気にしてるだろうか?

台風のルートが完全につっちーをスルーしているから。
さぞかし板前の腕を上げたことだろう(笑)
次に会うのがすごく楽しみだ♪

この旅は。
単に旅して波に乗るだけじゃ無い。
日本中に波乗り友達が出来る。
これって。

すごい♪

と、ニヤニヤしつつ今日の日記を書き終えるとします!

ではまた!

 

第百弐十九話  “ 見えない力 ” 09-16

昨日の宿はホテル道の駅♪
と、言っても過言でない程充実した設備だった。

24時間解放の休憩室には畳み敷の和室があり。
コインシャワーまで完備してあった。
間違い無く過去最高の道の駅だった♪

さて。
雨が降っている。  シトシトと。
しかしまぁ。  雨も天気。
夏が来て秋になりやがて寒い冬が来るように。
晴れの日もあれば曇りの日も雨の日もある。

道の駅あつみを出発し、少し走ると。
早くも新潟県に。
やはり日本海ルートは早い。
基本的に道がフラットな場所が多いからだ。

大きくせり出す半島も能登半島位で。
後はひたすら直線的な道ばかり。
これは思ったより早く九州辺りに着くかも知れない。
と、最近思い始めている。

次は。
いつどこで。  どんな波に出会えるのだろうか。
それがすごく楽しみだ♪

国道345号線を進み[笹川流れ]と言う景勝地を走っていると。
こんな標識が目に留まる。

今は湖のように静かなこの海も。



時として。
Double Over Carの波が立つようだ。



ぜひ一度見てみたいものだ♪

さてさて。
すっかり全身びしょびしょになったお昼過ぎ。
どこか見覚えのある後ろ姿が。



徐々に差を詰める。
あっ♪やっぱり(笑)

リキシャのMITSUIさんだ!



背後から忍び寄り。  しばらく後ろから様子を伺い。
期を見て。
『こんにちは!!!』と、大きな声で挨拶をすると。
『おおぉ!!』と、驚くMITSUIさん♪



自分が波乗りに夢中になっていた数日の間に抜かされていたようだ。
現代版うさぎとかめ♪
しばらく並んで一緒に走り。  ぺちゃくちゃ話す♪
『多分またどっかで会いますね(笑)じゃ!』と、自分は一足先に進む事にした。

目的地の道の駅が近付く頃。
ある看板が自分の心をパニックに落としいれる。


かまぼこ♪


ちくわ♪


茶わんむし♪


アラスカ♪

アラスカ? ……。  アっアラスカぁ!?
堀川のアラスカって…
いったい…
何……。

しかもこのローテーションの電信柱の看板が2~3㌔ひたすら続くのだ。
こうなると頭の中はアラスカでいっぱいいっぱいだ。

気になる。  あぁ~気になる。    アラスカ。
堀川のアラスカ。

これだけ気にさせれば費用対効果はバッチリだ。
後は堀川のアラスカが夢に出ない事を願うばかりだ…。

今日は一日を通して風が強かった。
強いと言っても強風暴風レベルではないが。  向かい風になるパターンが多く。
必要以上に体力を使った気がする。

追い風の時は。  意外とその存在に気が付かないものだが。
ひとたび、風向きが変わり向かい風になれば。
その存在を強く感じる。
目には見えない力がそこには存在するのだ。

見えない力。

見えない力は他にも存在する。
それは家族であり友であり。
仲間であり、目をかけてくれる人や旅で出会ったたくさんの人達だ。
その全ての人達の存在が自分の中にどれだけの力を与えてくれている事か。

どんなに向かい風が吹き荒れても。  決して押し戻される事はない。
背中を後押しする追い風のような。   見えない力がそこにあるから。

と、向かい風にヒーヒー言いながら走りつつ。
そんな事を思った今日だった♪



堀川のアラスカ    ホリカワノアラスカ    ホラノカワカリアス

ほら!力わかります?   そこにある見えない力が?

なんちゃって♪
ちょっと無理矢理でしたね!

ではまた(笑)

 

第百参十話  “ 迷走 ” 09-17

昨日お世話になった道の駅。
インフォメーションのおじさんがすごく良くしてくれた♪



朝、おにぎりやトマトをチーズ等など。  たくさん持って来てくれた。
*Sさんありがとうございました!

さて。
道の駅を出たのは9時過ぎだ。
理由は二つ。
一つは雨。
時折強い風を伴い激しく降る。  昨日すでに雨具はびしょびしょ。
乾いている唯一の服を着ている今。   雨に濡れる事は死活問題なのだ。

それからもう一つは。
新潟市内にある自転車屋さんと、アウトドア用品のお店に行きたいからだ。

早く到着しすぎると、都会の真ん中で待ちぼうけする事になる。

それは避けたい。

今、頭の中にある心配事は。  寒さに関する事が中心だ。
北海道では大活躍した二人用のツーリングテントは。
本州では重たいだけの無用の長物。
安くて軽いソロテントがあればそれが欲しい。

それから。
防寒兼雨具。
朝夕の冷え込みはダウンを来て寝袋に入ればそんなに心配はない。
が、雨が降った日の寒さはちょっと応える。
とは言えまだ9月。  この先を思うとちょっと怖い。

そしてハコブンダーの予備タイヤとブレーキシュー。
これはもうトイレットペーパーやシャンプーリンスと一緒。  日常的な消耗品だ。

ある程度の街じゃないと16インチのタイヤは中々揃わない。
そんなこんなで。  時間を気にしつつ。  雨の様子を見に行くと。
雲の切れ間に少し青空が。

よし!行ける!
と、慌てて身支度を整え道の駅のおじさんに挨拶し出発した。

街が近付くにつれ。  交通量は増え。  路肩は無くなり。
ガタガタの歩道を走る事を余儀なくされる。

そしてバイパス。
急に現れる自動車専用道に行き場を失う。

10時半頃だろうか。
未来にでも来てしまったのか。



高層ビルが今にも襲いかかって来そうな都会に到着。

都会は苦手だ…。
しかし。
人と物が集まる都会をでなくては中々必要な物は手に入れられない。

ジャグルをさ迷う。  強烈な視線を受けつつ。  右も左もわからない。
目指すお店がどこにあるかもわからない…。

横断歩道では左折する車にひかれそうになり。
狭い歩道では歩行者の人達の行列ができ。
バス停に立っているおじさんの突然のバックステップをギリギリ交わしたり。

迷走3時間。
ついに胃が痛くなり。  笑顔はとうに無くなり。

やばい…。  このままでは…  都会にヤラれる…
と、何の目的も達しないまま都会から逃げ出した。

しかし迷走は終わらなかった。
唯一の救いは街外れの自転車屋さんでタイヤとブレーキシューを手に入れた事だ。



*おじさんおまけしてくれてありがとうございました!

そのまま。  感覚を頼りに。  海を目指す。
なんのあてもないまま。

14時半頃。
自分の進むべきルートを見つけるも。
地図を見て。  相当な焦りが自分を襲う。  60㌔位進まないと道の駅がない…。

タイムリミットは3時間半だ。
ヤバい…。

この旅での毎日の最重要課題は。  いかに寝所を確保するかだ。
寝所にある程度のめどが付かないと。  ものすごく焦る。
そしてこの焦りは視野を狭くし、頭の回転も鈍くさせる。

『この先の道の駅まで行くしかない!』
明らかに無理のある選択をしてしまう自分。
チャレンジと無謀は違うとはわかっているが。
その判断さえつかなくなるのが焦りであり心の余裕の無さなのだ。

走り出す。
火事場の底力とでも言うのか。
自分でも信じられないほどの速度で走り続ける。

海辺の道に出るとオンショアに煽られ波が割れている。
しかしそれさえ横目で見る程度しか余裕がない。

さらに。
途中でサーファーさんが波乗りをしている。
普段なら必ず足を止め、のんびりと眺め、サーファーと話をしたり海に入らせてもらったりするのに。

それさえスルーだ。



そんな何かに追われて必死になっている自分に薄々気付きながらも。
もう走るしかなかった。

結局。  辺りが暗くなる頃。



無事に道の駅には到着出来た。

が。
迷いさ迷い。
焦り追われて。  通り過ぎた道のりに会ったであろう人と波との出会い。
一日の終わりになんの充実感も無く。  ただただ走っただけの日だった。
のだろうか?

そう考えてしまえば今日と言う日を全て無駄にしてしまう。

気持ちに余裕が無い事が。  焦りを産み。  視野を狭くし。
出会いの機会さえ無くしてしまう。

今日は散々な日だ…とは思わずに。
その事に気付いた事で今日を良しとしようと思う。

日々是好日。

では。

 

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