第百二十二話  “ 風の匂い ” 09-08

昨日。
Cさんと波乗りをした。
サイズは。  くるぶしセットすね。
そして強烈なオフショアの波だった。

数年振りのサーフィンで意地でも立つ!とむきになるCさん(笑)
たまに来るセットに二人で全力でパドルする。
少しでも。  海で笑顔で過ごす時間があれば十分だった。

自分達が海から上がると。
遠巻きに見ていたカモメが波のピークの取り合いをしていた(笑)



そのまま。  その海岸でキャンプする事にした。



相変わらず風は強く吹き付け肌寒いを通り越し寒い…。
まだ9月にも関わらずダウンを着込む。

この先が不安だ…

日没前には飲みはじめ。
暗くなる頃にはランタンの明かりに作られた優しい空間の中でいろいろ語り合っていた。



似たような経験を持つ二人で。  ついつい過去の話しになる場面もあった。
そんな時。
Cさんは言った。  『人生も波がなければ面白くねぇ!』と。

この言葉。  何だか最高だった。

人生の中でお化けセットをくらい海中に沈められ、もう二度とはい上がれないと思うような事もあった。
でも、波に背を向けて逃げずによかった。
どんなに惨めでも見苦しくても。  必死にもがきパドルする。
そしていくつもの波を乗り越えてアウトに出た時。

そこには。
その波を乗り越え成長した自分と、次の目標がある。
『あのセットに乗ってやる!』と。

夜。  ふと見上げた空には満天の星。
Cさんは。
『ここらはな~んもねぇからなぁ~』と、言っていたが。
何もない場所だからこそ。
存在するものもあると知ったのは昨日の夜だ。

今朝。
東の空が真っ赤に焼け。



西の山から吹き下ろす風はひんやりと冷たい。

やがて昇って来た太陽はその力を誇示するかのように大きかった。



カラッとした青空。



今日は最高に気持ちいい。
期待に胸を膨らませ。  いくつかのポイントに足を運んでみたものの。
期待通りには中々行かないもので。



下北半島のコーストラインを三沢まで下り。
その後内陸にハンドルをきった。
つまり。
青森の太平洋側の波はまたの機会のお預けにした。
波が上がるまで待てば、当たり前だがサーフィンは出来る。
でもこの旅は。
自分が海に着くタイミングと、波がやってくるタイミング。

そこに出会いが必要だ。

彼等は海を旅して。  自分は海岸線を旅している。
たくさんの旅人と巡り会ったように。  波とも巡り会うのだ。

待ち合わせをして出会う旅人はいない。
次の出会いに巡り会う為には。

行動あるのみ。

旅を進めなければ。  次の出会いはない。
そんな思いでハンドルを内陸に向けた。

少し早めに当初とは掛け離れた目的地に着き。  今、日記を書いている。
なんとなく冷たい風が心地好い。
あぁもう夏も終わるんだなぁ。
と。
何だか少し寂しい気分にさえなる。
そんな秋の匂いのする風。
春に沖縄を発ち。  伊豆で梅雨入り。  岩手を抜ける頃梅雨が明け。
短い夏を北海道で過ごした。

この先。  どこで秋の深まりを感じ冬の厳しさを感じるのか。
何だかしんみりと(笑)
そんな事を考えながら今日の日記を書き終えるとします。

てか寒い!  ダウン♪ダウン♪
…何だか。  冬の厳しさを知る日は近そうな気がする…

ではまた(笑)