第六十九話 “ 戦闘準備完了? ” 07-09

この旅に出る前から噂に聞いていたことがある。

国道45号線。
『あそこは…マジで…やばいよ…。』
『1番きつかったのは東北の45号線だったな』
『リアス式海岸…あれは地獄だ…。』
と、自転車で日本一周した先輩チャリダー達は皆、遠くを見つめてそう語る。

旅先で出会ったチャリダーも。
『えっ!これで45号線走るの!?』と皆、一応に驚く。

自分『…えっ…そんなですか…』と。  そうとしか言えない。
その45号線が目前まで迫ってきている。
嫌でも不安になる。

日本一周の旅を大きく三つに分けるとする。  太平洋側。  北海道。  日本海側。
その太平洋側を北上した最後のクライマックス。
それが国道45号線なわけだ。
宮城県の塩竈を過ぎたあたりから岩手全域、青森の八戸まで続く恐怖のリアス式海岸。



ここまで。  それなりにきつい道のりを越えてきた。
記憶に残るのは。  西伊豆。  土肥~石廊崎までの海岸線。
そう言えばあの時は。  大雨にも降られ。  なんとか一日で切り抜けたものの。
翌日は体が痛み、まともに動ける状態ではなかった。
とは言え。  翌日波乗りはした訳だが(笑)
その後。  伊豆大浜のワンダフルワールドのIオーナーとRさんに拾われ。
二日間体を休める事ができ復活した。

もう一カ所は。  三重の熊野~尾鷲~伊勢のリアス式海岸。
これでもかぁ~これでもかぁ!  と、繰替えされるアップダウン。
あの時はMOTOKIさんに再会したい!  それが、ただ一つが心の支えになり。
二日半で乗り越えた。

三重は過去に一度走った道だったので、予めきつさもわかっていたし、逆を言えばここまで来たら後少し!とかいう余裕もあった。

しかし。  45号線は完全に未知の領域だ。
話しを聞けば聞くほどに。  45号線に対する恐怖が増していく。
最初は熊位の敵だったのに。  気付けばコジラ位の大物になっている。
しかも。
聞かなきゃいいのに。  東北に入ってからは出会う人出会う人に。
『45号線てどんなですか?』と聞いてしまう。

たいしたことないよ!
とか。
大丈夫大丈夫!  みたいな言葉を期待するも。
返ってくる言葉に恐怖が増長されていく。
聞かなきゃよかった…と思いつつも、安心出来る言葉を求め、また誰かに聞いてしまう。

『45号線って…』  と。

さてさて。  今のうちに出来る事はして置かなければと思い。
いよいよ膨れ上がった恐怖心から。
今日はリアカーのタイヤ交換。





予備チューブ&予備タイヤ探し。
さらにひび割れし始め限界に近付いていた自転車のタイヤ交換まで。  一気に行った。
そうする事で少しでも不安材料を減らしたいのだ。

リアカーのタイヤ一本。  チューブ一本。  自転車のタイヤ2本。
*自転車屋さんのおじさんの粋な計らいで、BRIDGESTONEの新品タイヤ1本800円♪
おじさんありがとうございました!

自転車のタイヤは。  過酷な道にも堪えられるように。 
細身のタイヤから、MTB用のゴツゴツに変えた。
細身のタイヤから比べれば摩擦が増え、ペダルは重くなるが。





丈夫な奴がいい。  きっとそうに違いない。  と自分にいい聞かせる。
これですべての不安材料が無くなった訳ではないが少しは気が楽に。

交換したタイヤの調子を確かめながらいくつかのポイントをチェックした。



が、今日は波乗りを楽しむ気分にはなれなかった。
あるポイントを探しているとき道端で。
Hさんが声をかけてくれた。



お仕事中で制服姿なのでマークを隠しパシャリ♪
バレバレ?(笑)
すごくテンションの高い人で、憂鬱気味の自分に元気を下さった。

探していたポイントを聞き、行ってみるも。



厳しいコンディション。
一休みしながらどうしようか考えていると。
『あっ!いたいた!探したよ~!はいこれ!』と、差し入れをたくさんいただいてしまった。



*Hさん!お仕事中にも関わらず本当にありがとうございました!

さてさて。  今日はどこで寝ようか。   これが決まるまではいつも落ち着かない。
てな訳で今日は先に日記を。

ではまた!