第六十一話 “ Pioneer ” 07-01

昨日は大洗公園で野宿。

朝までぐっすり。
しかし。  下が固かったからか。  体が痛い。
またしても霧が立ち込めている。
波チエックさえできない。
したがって。  波乗り所ではない。

移動する事にした。  目指すは阿字ヶ浦。

走り出して見ると。  そんなに遠くなかった。
少し霧が晴れて蒸し暑くなって来た。
早く海に入りたい!
が。  波が…
うっすらうねりはあるが。  ショアブレイクだ。
潮周りを確認。
これから潮が引いてくる。
しばらく様子を見る事にした。

うろうろ。  ビーチを散歩。  ゆっくり時間が流れる。
波チエックに来た東京のKさんとHさんが声をかけてくれた。



見知らぬ土地で声をかけてもらえる事。
これはすごく心強く。  そしてありがたい。
おにぎりやお菓子まで頂いてしまった。
ありがとうございました!ごちそうさまでした!

さて。
少し潮が引いて来て。  小ぶりながら波が割れて来た。
軽く1R♪

海から上がり出発しようとすると。  地元のサーファーさん達が。
『どっから来たの?』と。
『沖縄です。』

間。

『ええっ!オキナワっ!?』と。
そこからしばらく話さしてもらった。
言葉の端々から。
また違う土地に来たんだなぁ~。   と実感する。
どうやら皆さん。  仲間の一人が新しく板を削ったようで、その品評会の最中だったようだ♪



さてさて。
今日は行くところがある、
太東のTED 阿出川さんから紹介して頂いたONOさんに会いに行くのだ。
またまたドキドキだ。
いったいどんな方なのか。
電話で聞いた情報を走り書きしたメモを頼りにその場所を探す。
宝探しの気分だ♪

少し迷いながらも到着。
SUN SURF。

あった!  こんにちは~
と、やや小声。
恐る恐る。  いや。  ドキドキしながら。   もの音のする方へ行ってみる。

うぃ~ん!  うぃ~ん!
中で一人の男性がサーフボードをシェイプしている。
少し大きな声で。  『こんにちは!』と。
気付いてくれた。
事情を説明する。
ONOさんは波乗りに行かれていていつ戻るかわからないらしい。

毎回だが。  突然行く自分が悪い。
戻られるまでのんびり外で待たせてもらう事にした。
あっそうだ。   せっかくだから、お願いして板を削っている所を写真に撮らせてもらおう!
とカメラを探す。
が。  無い。  あれ?  無い。  無い無い。

最後にカメラを見たのは…
…あっ!  さ~っと血の気が引いた。  

忘れてきた…

途中で休憩した公園に置き忘れて来てしまったのだ。
焦った。  この旅始まって以来の慌てっぷり。
カメラはいい。
例えなくなったとしても。   でも。  メモリーカード…
たくさんの思い出が記録されたメモリーカード。
泣きそうになった。  公園を出てから2時間近く経過している。

やばい…  
ともあれ、全力で引き返す。

道すがら。  本気で祈った。  お願いだから見付かりますように!    何度も何度も。  
息を切らしながら公園を目指す。
いつも以上に信号待ちが長く感じる。

そして公園まで到着。
祈りながらカメラを探す。  絶対にある!   と心にいい聞かせながら。  
ベンチに近づく。

あった!!!

見つかると、急に力が抜けた。  へなへなとその場に座り込んだ。
たくさんのたくさんの思い出が詰まったメモリーカード。
出会った人。  ポイントの風景。  波の画像。
その時の自分の気持ちとシンクロした物や風景。
何度も撮り直したセルフタイマーショット?

すべて宝物だ。  それを一瞬失いかけた。

カメラが見つかるとどっと疲れが出た。

公園で一休み。

夕方再びONOさんに会いに行く。
到着。


まだ戻られていないようだ。  しばらく待つ。
すると一台の車が。  中から男の人が。

…あっ。  小野 嘉夫プロ…  440さんだった。


いつものようにパニクる(笑)
『連絡つきました?』と声をかけて下さった。
そう。  TED 阿出川さんに紹介して頂いたのは。  440さんのお父さん。
この茨城のポイントの開拓者。  小野 功さんだ。

440さんはすごく気さく人で、すぐに緊張は取れた、
少しするとONOさんが戻って来られた。

挨拶をする。
突然の訪問にも関わらず親切に接して下さった!
『今日はどうするの?』と、言って。
『一部屋空いてるからそこ使いな!』とサーフボード工場の屋根裏部屋を貸して下さった。

サーフボードたくさん♪


大きなおもちゃ箱♪
ここで寝たらいい夢が見れそうだ。
お言葉に甘える。
『ちょっと見せたいものがある。こっち来て。』とONOさんが。





これは昔、ONOさんが中学生の頃。
始めてサーフボードを見た後に見よう見真似で作ったサーフボードの骨組みのレプリカだそうだ。
この骨組みにベニヤ板を貼付け友達と海に行ったと言う。

『でもね、全然乗れなかったよね。裏にフィンがついてるなんて知らなかったしね。』
と。
その時の話を静かに、でも楽しそうに。  思い出しながら。  ゆっくりと話してくれた。
夜食事をとりながらたくさん話をさせてもらった。
昔、まだほとんどサーファーがいなかった頃。
日本中をポイント探しの旅に出た話し。
田舎に行き車の上のサーフボードをみたおばちゃんに。
『あんたそれどこで飛ばすの?』と言われたり。
滅多にいないサーファーに出会うとすごく嬉しかったとも言っていた。
仙台に行った時は人っ子一人いなかったな~。
とか。
リーシュがなかった頃の苦労話。  松脂をワックスがわりにしていた話し。
全てが自分には新鮮で、楽しかった。
『それでは昔は大変だったんでしょうね?』と自分が言うと。
『いや、楽しいから大変とも思わなかったよ。』

自分の旅と一緒だ。  楽しい事。   楽しい事の苦労は。  楽(らく)なのだ。

【楽をする】  
便利に身を任せる事ではなく。  苦労しながらでも楽しく生きる。
YAMADAさん言う【道楽】に、こんな意味もある気がした。

では。
*昨晩は日記を書きながら寝てしまい更新が遅れてしました(*_*)