福ちゃんさん。 ひなちゃんさん。 とてもいい出会いだった。 自分達しかいないキャンプ場。 ビールをご馳走になり、たくさん話した。 福ちゃんさんは話しを引き出すのがうまい。 だから昨日の自分は何だかおしゃべりで、色んな事を話してしまった。 ひなちゃんさんは明るく装いながらも、この先に不安をかかえているように見えた。 生意気かとも思ったが自分の考え方を素直に話した。 二人とも。 旅人でありサーファーだった。 なにより自然が大好きな人達だった。 知床半島7日間カヤックの旅の話しは聞いていてワクワクした。 自分もこのキャンプ場に迷い込み。 二人も当初の目的地とは大幅に違う場所。 そう。 このキャンプ場にたどり着いた。 引かれあったとしか思えない。 朝起きる。 二人はまだ寝ているようだ。 お湯を沸かしコーヒーを飲む。 雲の切れ間から朝日が見え隠れしている。 鳥の声と海からの風。 とても素敵な時間。 二人も起きてきた。 また話した。 福ちゃんさん。 昔の事を話してくれた。 400$を握りしめアメリカへ渡った話し。 息子さんが小さい時、突然旅に連れて行った話し。 旅をしてきた人達は言う。 俺も昔、色んな人に親切にされお世話になった。 今となってはその人達に恩返しするのは難しい。 だから。 だからなのだ。 『これあると絶対役に立つから!』と。 福ちゃんさんからヘッドライト・新品ガスボンベ・食料を頂いてしまった。 今は感謝しかできない。 でも。 結局これも繋がっている訳だ。 誰かが誰かにした善意が巡り巡って自分に回ってくる。 そのサイクルを決して自分が止める訳には行かない。 朧げながら次の道が見えた気がする。 別れの時は来る。 どんな時も。 でもそれは。 その時の寂しい気持ちは。 次に再会出来た時の喜びに繋がる。 その時を信じて。 さて。 二人と別れた後。 再び御前崎に向かう。 昨日とは違うポイントへ入る。 いつもの様に『いただきます!』 先に海にいる人達に挨拶する。 『おはようございます!おじゃましま~す!』と。 『おはよう!あれ?前に吉田で一緒だったっけ?』 『いや!吉田は行ったことないです(笑)』と。 きっと似ている人がいたんだろう。 気持ちいい挨拶を返してくれる人は。 見ていて必ず気持ちのいいサーフィンをする。 パドルが追いつかず、波に乗れなかったとしてもニコニコしている。 自分はなるべくそういう人の近くにポジションをとる。 波の取り合いにイライラしたり、何に対してかはわからないが、ムスっとした顔をしている人には近づかない。 こちらの気分が台なしになってしまうから。 さて問題はここからだった。 『ごちそうさまでした!』と一礼し、海から上がり出発。 天気も良く最高の気分。 鼻歌まじりにのんきに走る。 こういう時は決まってJackJonson の曲が頭を流れる。 途中いくつかポイントを見ながら静波に到着。 字の如く今日の静波は静かな波。 ローカルさんから話しを聞くと『明日明後日ては風が入ってきびしいね~』と。 どうしよう。 ここで。 これからどうするかで迷いが生じた。 動くか。 動かないか。 この選択の結果でこの先に起こる出来事が大きく変わってくる。 それはここまでの旅を通じて肌で感じて来た事だ。 だから余計に悩む。 2時間位悩んだ。 自由。 すべてが自分で選択できる。 選択。 そう。 全て自分で選択しなくてはいけない。 その結果がどうなるかわからない。 でも。 でもだ。 自分で決めて進む道。 きっと間違いはない。 右か左か。 それによって大きく未来が変わる。 だからこそ自分を信じるしかない。 自分を信じ選択した道。 それが間違えでもいい。 いや。 間違いなんてないのかも知れない。 いけないのは、自分の気持ちに嘘をつく事。 決めた。 進もう。 思いっきり自分を信じて。 走り出してすぐに。 すれ違う車から。 『お~い!頑張れ~!』と声をかけられた。 浜松ナンバーの紺のハイエースだったと思う。 運転席の方もニコニコしてくれてた。 嬉しかった。 さらにしばらく走ると。 黒い車の、いかにも。 いかにも旅好きです!って風貌の人がクラクションと共にガッツポーズをしてくれた。 思わず笑顔になった。 そして気付いた。 選ばなかった道での出会いを悔やむのではなく。 選んだ道の出会いを喜ぼうと。 これから先。 色んな選択。 決断を迫られるだろう。 そんな時は。 勇気を出して。 自分を信じて。 思いっきり突き進もう。 そう心に決めた。 ではまた! |