第五十八話 “ ココロのキリ ” 06-28

今朝起きると。
もやもや~っと。
すごい霧。

かろうじて雨は降っていない。


テント撤収。

下が砂地のキャンプの利点
・水はけがいいのでべちゃべちゃしない。
・凸凹していないので寝心地がよい。
欠点
・すべてが砂まみれ
悪戦苦闘しながら荷物をまとめる。

走り出す。
しっかりのんびりしたからか。
足取りは軽い。
朝のラッシュ時に銚子大橋を激走。
茨城県に入る。  波崎へ向かう。

10年位前だろうか。
友達とショートトリップに来た時。
すごい波を当てた思い出の場所。
その後何度か足を運んだがあの日のような波には出会えなかった。

今回もダメだった。
聞く所によると。
千葉・茨城は珍しくうねりの弱い状態が続いているらしい。
これも何かの縁なのか…
まぁあまり深く考えても仕方ない。
そんな時は移動日に。
波が有り過ぎても中々進まない。

しかし霧がすごい。




風車の存在にしばらく気付かなかった。

移動。  霧で視界が悪い。
感覚を頼りに海沿いを走る。
途中行き止まりになり。
やや内陸にハンドルを切る。

1時間程走ったろうか。
ん?  かなり進んだと思っていたのに。
目に飛び込んで来た看板には。

【波崎海水浴場】と。
…。  言葉もない。  ふと足を止める。
ただただ走っていた事に気付く。

あれあれ。  今日は誰とも出会ってない。
急に寂しくなる。
一人旅。
一人で当たり前なのに。

ここまでが普通じゃなかったんだ。
千葉に入ってからは特に。
その出会いの数が凄かった。

あまりの出会いに。
心が飽和状態にさえなった。

そして昨日。  …引きこもった。
もちろん他の理由もあったが。
素直に言うと。
一人になりたかった。

完全に自意識過剰だが。
どこに居ても。
心からのんびりできなかった。
一人自分と向き合い。
この旅の原点を。
もう一度よく考える必要があった。
だから昨日は誰とも会わなかった。

出会いに支えられ。
出会いに導かれ。
ここまで来れたのにも関わらずにだ。

大馬鹿もんだ。
感謝してもしきれない。 出会いの数々に。
ちょっと疲れてしまったのだ。

そのくせ。  今は一人寂しくなっている。
恐怖感さえある。

昨日。  流れを断ち切ってしまったせいで。
もうこのまま。 誰とも会えないんじゃないかと。
昨日は出せなかった答えも。
今は一目瞭然だ。
やはり人との出会いを求めている。
結局一人じゃ何も出来ない。

お昼前。  霧が晴れて来た。
それどころか。  太陽が顔を出してきた。
ここから。  霧が晴れてから。
急に出会いが押し寄せて来た。

バイクで日本一周に出たIさん。
半月程前。
Sさんの知人が神奈川で自分を見かけたらしく話しを聞いていたらしい。
『いや~嬉しいな!なんか会える気がしてたんだよな~!』と。



道端の楽しそうな雰囲気に誘われて?
近所のおばちゃん。
Sさんも話しに加わる。


Sさんから使い捨てカメラと電池を頂く!

そしてまたしばらく走ると。
真っ黒に日焼けしたKさんが話し掛けてくれた。
何でも昔。  自転車で。
神奈川から福島までを1週間で往復したらしい…
なんだかパワフルな人で。
かなり元気をもらった。



そしてダンプのおじちゃん。
それはそれは怖い顔なのだか…
話すとめちゃめちゃ優しくて。
『気をつけてな!』
と、豪快にクラクションを鳴らして走りさって行った。
この時点ですっかり元気に♪

気付けば太陽はギラギラと。
いやちょっと待って…
暑すぎる…。


雨が降れば晴を望み。
日差しが強ければ涼を求める。
無い物ねだり。  そればかり…  反省。

じりじりと腕を焦がされながらひた走る。


来る予定がなかったのに。
大好きな道の駅の看板が目に入る♪

ちょっと休憩。
と、駐車場に入るや否や。
『こないだ太東にいました?真木さんのブログで見ました!』とTさん。

飲み物の差し入れを頂く。


干からびかけていたので一気飲み。
日陰で一休みしていると。
Nさんが。
はい差し入れ!と。

飲み物を。


ちびっこにも『がんばれ~』と言われ、力こぶを見せる♪

見てなかった(笑)

少し休んでいたら。  どっと疲れが。
やはり暑さは体力を奪うらしい。
今日はここまで!  と、無理はしないようにした。

午前中の気持ちと。  今の気持ち。
どちらがいいか。  
霧が晴れた心には。  もう答えが出てた。
そして改めて教えられた。
人との出会いのスバラシキコト。

波と同じように出会いの無い日もあるだろう。
だからこそ。  一つ一つの出会いに。
出会いに感謝しよう。

では。