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第百十話  Great Surf jorney Day-35&36 
“ ROUTE ” 08-24 & 25

実は。  昨日。  少しやばかった。

大雨で近くの道路は通行止め。  陸の孤島と化した浜辺。
雨は短時間で上がったものの。  夜中に(多分)キツネに襲撃され。
一人孤独と戦うハードなキャンプだった。
久々に自然の中での自分の立場がいかに小さなものかを思い知った。

朝。  雷の音で目を覚ました。
めりはりの効いた雨。  強まっては弱まり。  止んでは降り出し。

今日は移動する。
TOSHIYAさんに紹介してもらったイチローさんに会いに行くからだ。
忙しい仕事の中。  ゆっくり会えるチャンスは今日だけだ。

雷と雨が降る中。  史上稀に見る悲惨な撤収作業が始まったのは言うまでもない。

ドタバタと荷造りをしていると。  ブーン。  と一台の車が。
旭川のサーファーさんだ。
差し入れを頂いたり、ゴミを持って行ってくださったり。

*恥ずかしいとの事で。  写真はNGでしたが。  本当にありがとうこざいました!

そうこうしていると。  もう一台車が。  ブーンと。
車から降りて来た人を見てビックリ!
札幌の自転車屋さんだ。



『雨だから自転車じゃなくて、車でドライブに来た』と。
なんだかんだ言いながら。  きっと雨が心配で様子を見に来てくれたんだと思う。
*ありがとうこざいました!再会出来て良かったです!

そして。  また一台車が。  ブォーンと。  Hのローカル・スモッティーさんだ。
『雨、大丈夫だったかぁ?』と。



スモッティーさんも心配して様子を見に来て下さった。
もしかしたら。  自分が思っていたより昨日の雨は深刻な状況だったのかも知れない。

無事で良かった…。

スモッティーさん。  Hに来る時は連絡してね!と。  
言って下さり、これでまたひとつ楽しみが出来た♪
*わざわざ寄って頂いてありがとうこざいました!Hでまたお会い出来るのを楽しみにしています!

さて。何とか荷物をまとめ。  イチローさんに会いに次の街へ移動だ。
が、風が強くて平坦な道なのに登り坂並の体力が必要だった。

そして。  午後2時。  電話では何度も話していたが。
始めてイチローさんにお会いする事ができた。

この後。  イチローさんとの出会いのおかげで。  
旅のひとつの問題に。  結論が出る事になる。
それはまた後に話すとしよう。

ひとまず、イチローさん宅に自転車を置き。  近くのポイントを見に行く。
が、あいにく波がない。
そのまま引き返し。  BBQの準備を。
時間は午後4時  すでに乾杯している(笑)
漁師のイチローさんが取ったツブ貝を。



なまらうまい♪

いろいろ話しながら。  あれこれ話している中で。  青森の話しになった。
『青森はどこで入ったの(サーフィンしたの)?』と。  
イチローさんは青森出身なのだ。  (岩手でお会いした八戸のNORIOさんとも知り合いだった。)

自分は青森ではサーフィンをしていない。
岩手から青森に入ってすぐ八戸からフェリーに乗ったからだ。
そして北海道に入ってから帰りのルートをどうするかが、一つの大きな問題だった。

フェリーのルートは4つ。
1つ目は。  苫小牧から八戸へ戻るルート。  これだと北海道の南部はスルーすることになる。

2つ目は。  苫小牧から秋田。  一気に日本海へ抜けるショートカットコースだ。
この場合道南だけでなく青森までスルーしてしまう。
北海道であまりに時間がかかり過ぎた場合のみ考えていたルートだ。

3つ目は。  函館から青森だ。  道南までしっかり下り青森から日本海へ向かうコース。
しかし青森の太平洋側でのサーフィンは少し厳しい。

そして4つ目。  函館~(青森)大間コース。
このルートなら北海道をしっかり周り、行き残した青森の太平洋側にも出やすい。
が。
その分走る距離を考えると、どうしても結論が出せなかった。

一番恐れているのは。  夏が終わり秋になり。  迫り来る冬の足音だ。
遅くなればなるほど。  後半の厳しさは想像さえ出来ない。
最近は。  ちょっと弱気になり。  青森はスルーしちゃおうかな~。
とか。
後半の寒さが怖いから一気に秋田!?とか。  良からぬ事も頭に過ぎっていた。

でも青森のポイントをしっかり見ずに日本海へ抜けたら。
日本一周サーフィンの旅とは言えないかな?
とか…。
色んな葛藤と共に早く決めなければと思いつつも答えは出せないまま。
苫小牧まであと200㌔を切る辺りまで来てしまった。

そんな時のこの会話だ。
『青森はどこで入ったの?』  『入ってないです…。』  『ええっ!!マジっすか!』   『…。』
『やなっち!青森に入らずして日本一周とは言えないっすよ!』と。
ずばっと。
自分の逃げ腰ルートを一刀両断。
『函館も最高だから絶対行った方がいいよ!』とイチローさん。
さらに。
『俺が大好きな青森のポイントをどうしてもやなっちに見て行って欲しい!』の熱い一言に。
自分の迷いはふっ切れた。
函館~青森大間→太平洋に出た後内陸部を横断し秋田へ。

このルートだと。  ゴールの沖縄へは。      12月頃?
まぁ。  頭で考えてもしかたない。  もしかしたら以外と早く着くかも知れないし。

とは言え。
寒さに対してかなりの不安はあるが一生の内に何度も挑戦出来る事じゃない。
心残りがあるのは嫌だし。  イチローさんに会ったのにはきっとこう言う意味があったんだろう。
と、感じたりした。

その後。  イチローさんの奥さんのRさんや9ヶ月のS君。
Tさんやお坊さんのNさんも加わり。  最高に楽しい時間を♪
ついつい飲み過ぎてしまいそのままダウン(笑)

そして今朝。
イチローさんRさんS君とお別れし。  出発。
Nさんのお寺に寄り手を合わせ、この先の交通安全を願った。



海を眺めながらの快走路。
途中、サーフショップさんを発見するもまだオープンしていなく、写真だけ一枚♪



曇り空の下、快適な道のり。
60㌔位走ったところで、今日はストップ。  それはこんな施設を見つけたからだ。

無料のライダーハウス♪





こんなにありがたい施設は初めてだ。
屋根があって壁があって、水道とトイレがあり。  電気も使わさせてもらえる。
至れり尽くせりだ♪
なので今日はここにお世話になります。  旅人思いの北海道に感謝です!

では!

*皆さん暖かく迎えて頂き、さらに美味しいBBQに持ち切れない程のお土産をいただき本当にありがとうこざいました!

 

第百十一話  Great Surf jorney Day-37 
“ 手の平の石 ” 08-26

さて。
今日は失うものもあれば手に入るものもある。
そんな話しだ。

今朝、無料のライダーハウスを出て。  いつもと変わらずタラタラと自転車を漕いで西へ向かう。
途中、いくつかサーフポイントらしき場所を見つけながらも、うねりが弱すぎてよくわからない。
ちょっと走れば河口があり、うねりが入ったらどうなっちゃうの♪
みたいに一人妄想しながら海沿いを流して行く。

この時はまだある事に気付いていない。

さらに進み。  久しぶりにコインランドリーを発見♪
数日分の洗濯物がリフレッシュされる事をまだかまだかとずっと待っているのだ。
その期待に応えるように発見したコインランドリーに向け舵をきる。
洗濯物達はそりゃもうおおはしゃぎだ♪  と、自分はそう思っていた。

よーし!みんなコインランドリーについたぞー♪  と、声をかけるも反応がない。
ん?そうか。
あまりにも放置し過ぎて機嫌が悪くなっているんだな♪
しゃあないなぁ。  手間のかかる子達だ。
わかったわかった。
今日は特別に柔軟剤も入れてあげるから出ておいで~!  と、言っても反応が全くない。

焦り出す自分。
まさか…みんな耐え切れずに家出!?
慌てて洗濯物達が隠れていそうな場所を捜索するも。  彼等の姿はどこにもなかった。

愕然とする自分。
記憶をたどって見る。

洗濯物はいつも一つの袋に入れハコブンダーに載せておく。
そういえば…昨日のライダーハウスに着いた時…すでになかったかも…。
となると、彼等がいなくなったのは一昨日?
いや。  昨日の朝は見た。  はず…。
どこで彼等と生き別れたかもわからない。
最後に彼等を見た場所まで引き返すとなると100㌔近く戻る事になる。

す…すまん…。  許しておくれ。
見つかる保障などない往復200㌔の距離はあまりにも長かった。

さよなら目録  NORTH FACEのアウター1枚  Quicksilverのインナー1枚
REEFのラッシュ1枚  バスタオル 1枚  利尻富士温泉ロゴ入りフェイスタオル 1枚
Tシャツ 1枚  寒い夜に履く用長ズボン 1着

そして…。
利尻岳登頂記念にマルゼンさんで購入した、利尻岳が大好きな人しか買えない
【利尻岳が大好きですTシャツ♪】 1枚  のスタメンレギュラー組を一気に失った。
*相当凹んだ為、文章表現が若干おかしくなっている事をお詫びします。

がっくり肩を落とし、彼等が大好きだった思い出いっぱいのコインランドリーを後にする。
そういえば、洗濯物達はグルングルン回ってホッカホカになって出て来た時は嬉しそうな顔をしてたっけ。
などと思い出すのは彼等との思い出ばかり。

今にも止まりそうなスピードでふらふらと道を進む。

道の駅を見つけ。  特別な用はなかったが立ち寄ってみる。
すると♪
朝会ったチャリダー二人と再会♪



彼等を失った寂しさを紛らわす為に神様が与えてくれた出会いだ。
すぐに打ち解け。
三人で105円づつだし箱入り10本入りアイスを購入♪
ジャンケンの結果ポップコーン太郎君が4本のアイスをゲット。  自分とG君は3本づつ。

一気に2本のアイスを開け、二刀流の武蔵気分でアイスを頂く♪
くだらないが楽しい(笑)
彼等を失った悲しみからやけ酒ならぬ、やけアイス。
一気に頬張りキーン!とするあの感覚が辛さを忘れさせてくれる。

失ったものは戻らない。
が、
その分手に入れる事が出来ることもある。



彼等を失ったパニックによるタイムラグが出会いをくれた。
今日はポップコーン太郎君とG君と、同じライダーハウスに泊まる事にした。



ちょうど。  イチローさんのBBQでお会いしたお坊さんのNさんが話してくれた話しを思い出した。

あなたは両手に一つづつ大切な石を持っています。
その足元にダイヤモンドが転がっています。
さて。
どうしますか?   と言う話しだ。

もちろん答えは。
どちらか一つの大切な石を捨てなければダイヤモンドは手に入らない。

つまり。
何かを手に入れる為には大事なものを失うこともあると言う事だ。
何から何まで手に入れようとすれば。
必ず抱えた腕から知らず知らずの内に何か大事なものを失うのだ。

また。
何か大切なものを失ったから手に入る大事なものもある。
自分の両手にはどんな石があり、それと引き替えに何を手にするのか。
両手にある大切な石と手に入れたいものを天秤にかけるのだ。

迷いや何かを失うのが怖い時は。
天秤は行ったり来たりするだけで答えはでない。
それを手に入れたい気持ちが確かなものでゆるぎないものならば。
天秤は確実に手に入れたいもののほうに傾くのだ。
そしたら喜んで期待に胸を膨らまし。
手にある石を捨てそこにあるその石を拾えばいい。

自分は安定を捨て自由を拾った。  そしたらその石は何かの原石だった。
磨けば磨くほど光輝き。
様々な人との出会いと生きている実感、知らなかった自分の強さや弱さも付いてきた。



手に入れたいなら何かを捨てる勇気も必要だ。
と言う今日はそんなお話しでした♪

ではまた!

 

第百十二話  Great Surf jorney Day-38 
“ Heart ” 08-27

ポップコーン太郎君とG君と。
握手で別れたのは今朝の7時頃だ。

旅の苦労話やくだらない話しも。  旅をして気付いたそれぞれの大切な話しも。
そんな時間はあっという間に過ぎて行くものだ。
『また!』と言って出発するのは別れを悲しむより再会を楽しみにしているからだ。

途中。  トンボがワサワサ飛んでいる。
沖縄で聞いた話しだが。  『トンボがたくさん飛ぶと、台風が来る』と。

このトンボは秋だからなのか。  それとも?

走りやすい道が続き地図を確認すると。  浜厚真はすぐそこだ。
『厚真に来たら連絡してね!』と、言って下さったスモッティーさん。
迷惑じゃないかな~。  と、思いつつも電話してみる。
『やなっちです!』
『おお!やなっち!』とスモッティーさんの声を聞いて余計な心配はいらなかったと安心した。
『じゃあ俺も今から海行くよ!』と。

浜厚真付近に着き。  海岸への入口を探していると。  サーファーさんが道を教えてくれた。
SさんOさんSさん。

SOS♪
自転車日本一周      ~ サーフィンの旅 ~-DVC00104.jpg

*声をかけ、道を教えて頂きありがとうございました!

ポイント到着。
毎回ながらポイントに着き海が見えてくる瞬間は堪らない♪
クリスマスプレゼントの箱を開ける気分だ。

広い砂地を抜け海が見えた。  たくさんのサーファーさんで賑わう活気のあるポイントだ。
ポイントのキャパもかなり広い。
ぐるっと見渡すもスモッティーさんはまだ着いていないようだ。

しばらく海を眺める。  サイズはひざ~もも。  ショートにロングにボディーボード。
みんな楽しそうに波に乗っている。

しばらく海を見ていたら。  もう居ても立ってもいらしてれなくなって来た(笑)
『スモッティーさん!お先にいただきます!』と海に飛びこんだ。
水温は予想外に温かい。
周りのサーファーさんに『お邪魔します!』と挨拶をする。  皆さん笑顔で返してくれた。

しばらく波乗りをさせていただき。  ふと岸を見ると。  手を振っている人がいる。
スモッティーさんだ!  速攻で岸に戻った。
3日振りの再会だが。  もっと前にお会いし、そして以前から知っていたような感覚だ。

旅で出会った方との再会は。  不思議とそんな気持ちになる事が多い。
そしてそこにはもう一人。
『あっ!こないだ♪』
DOVEのTさん達とお会いしたポイントで一緒に波乗りした方だ。

あの時はお互いに話しながらDOVEキッズチームの波乗りに呆気に取られてしまい。
自己紹介さえしないままだった。

そういえば。  あの時にいたR君が全日本で優勝したらしい♪

浜厚真の河口の方に移動し、ローカルさんにご挨拶。
皆さん気のいい人ばかりだ。



『やなっち!行くか!』とスモッティーさん。
ひざ~ももの波にタダクマさんと三人でゲットアウトした。
ちょうどそのころには河口周辺には誰もおらず、貸し切りだった。

セットが入ると。  大喜び♪  来た~!とか、ひゅー♪とか(笑)
サーフィンを始めたばかりの頃の雰囲気がそこにはあった。
もちろん波がもっとあれば。  それはそれで波乗りを楽しめるし。
波が小さくても。
そこに楽しむ気持ちと、その大切さをわかっているサーファーさんがいれば。
そこには必ず笑顔が生まれるのだ。

『なんかすっごい楽しかったですね!!』と、言うと。
スモッティーさんも。
『なんか(サーフィンを)始めた頃を思い出したわぁ~♪』とニコニコだ。

波をリップしまくり。  際どいアクションで派手にスプレーを飛ばしても。
笑顔で海から上がれなければ。  そこには自己満足のサーフィンがあるだけだ。

笑顔で海から上がること。  それは。  海に対する最高の感謝の気持ちだと。  自分はそう思う。

海から上がると。  『お腹すいたでしょ?』とスモッティーさん。
お昼を食べに行く事になった。

その途中。  TOMOさんが声をかけて下ださり。



応援して下さった♪
海辺を走る?馬を見ながら。



ハコブンダーの次はあれかな?(笑)と馬鹿な事を考えながらニヤついてしまった。

浜への入口へ砂利道にガタガタ揺られながら進んで行くと。
『やなっち!』と声をかけてくたれたのはmyu2さんの彼氏さんだった。



『洋服落としちゃったんでしょ?これ使って!』と、
Tシャツ4枚  ラッシュ1枚  バスタオル1枚  長ズボン1枚  アウター1枚
を惜し気も無く自分にプレゼントして下さった。
*Hさん!助かりました!本当にありがとうございます!!

明日、myu2さんや札幌のREAL DRIVEさん達も浜厚真に来ると言うので。
迷わず。  『じゃあ明日また来ます!』と再会を約束した。

さて。  再び厚真商店さんでスモッティーさんと合流。
スモッティーさんの周りはいつも賑やかで笑顔が溢れている♪
初対面でもカップラーメンが出来るより早く内解けてしまうのは。
間違いなくその人柄だ。





たまたまサーフトリップに来られていた大坂サーフショップ紀乃国屋のN島さんにお会い出来た。





ちゃっかりステッカーまで頂いてしまった。
*N島さんありがとうございました!

その後この辺りの名物。  ししゃもが入ったおそばを頂いた。



さて。
ビーチで少しお話ししたローカルさんも言っていたが。
『スモッティーさんは面倒見がいいからね♪』の言葉通り。
『やなっち!な~んも心配はいらないから、今日は俺に全部任せとけ!』  と、言ってくださり。

ひとまず。  苫小牧のスモッティーさんのお店を目指す事になった。
スモッティーさんは浜厚真まで車で15分と言っていたので。
あっ♪なら近い近い♪と余裕をかましていたら。
チャリでは軽~く2時間以上かかる道のりだった(笑)

途中。  以前にコメントも下さっていた苫小牧のNさんご夫婦とばったり遭遇♪



Nさんはウィンドサーファーさんで御前崎で自分がお会いしたMOTOKOさんやマウイのTOMOKOさんともお知り合いのようだった♪
*差し入れありがとうございました!お会い出来て良かったです!

さて。  日が暮れた頃。  スモッティーさんのお店。  【わんじゃ】に到着。



お店に入って見ると。  キリッとした顔のスモッティーさんがいた。
しかしすぐに顔をくしゃくしゃにして。  『おお!来た来た!座って座って♪』と。

この後、いただいたわんじゃさんの焼肉は。
そりゃあもう。  なまらおいしい♪  の一言で。
特に。  辛味噌のわんじゃホルモンは。



まらうまい!  
種子島風に言えば。  わざいうまかぁ!
沖縄風に言えば。  デージマーサンド!  だった(笑)♪

奥の座敷は満席でカウンターも空きは無し。
かなり繁盛している様子。
忙しい合間を縫って話しかけてくれるスモッティーさん。

店長さんやMさんもキビキビ働きながらも気配り上手。



これは繁盛するわけで♪  
ラストオーダーも終わった頃。  『やなっち!風呂行こう!』と温泉に連れて行っていただき。
その後。  
びっくり仰天!  すっごいホテルを予約して下さっていて。
『なんも気にしなくていい。ゆっくり疲れをとりなさい!』と。
スモッティーさんは熱っついHeartの持ち主だ。
話しをして印象的だったのは。
『俺も昔は初心者だった。ただ今の子達より、たまたま早くこの世に生まれサーフィンに出会っただけ。なんも遠慮する必要はないから!』

スモッティーさんは間違ったローカリズムを嫌う。  みんなで楽しくサーフィンができればいいと。
その為のルールであり、秩序は必要だか心は常にオープンだ。

今、過去最高に浜厚真のサーフィンが盛り上がっていると言う。
それをとても喜んでいると言っていた時の顔が忘れられない。

そして。  いや、やはりと言うべきか。
スモッティーさんも昔、旅をして。  土地土地のローカルさんにお世話になり。
そしてその時の恩を今でも忘れないと言っていた。

自分はそれを引き継いだ。
この流れは決して止めてはならない。

いつの日か。  

このHeartを。   

次の旅人に。

 

第百十三話  Great Surf jorney Day-39 
“ 往復54㌔の一本の波 ” 08-28

昨日はスモッティーさんのお店に自転車を止めさせていただき、豪華なホテルに宿泊させて頂いた。

朝、スモッティーさんがホテルまで迎えに来て下さり自転車を止めているお店へ向かう。
スモッティーさんも海へ行くと言うので『じゃあ海で!』と言って自転車を漕ぎはじめる。
苫小牧から浜厚真まで片道27㌔の道のりだ。
目標を2時間に設定しキコキコ走る♪

myu2さんに会うのは北海道に上陸した日の一ヶ月以上前の事だ。
再会が楽しみで足取りも軽く予定より早く到着♪

昨日よりさらに賑わっている浜厚真。
車がたくさんあってキョロキョロと探していると。  遠くでmyu2さんとHさんが手を振ってくれている!
あぁ!いた!と、子犬のように駆け寄るも。
深めの砂にはまって失速した…。

ともあれ再会出来た♪
周りのたくさんのサーファーさんがこちらを見ているので目が合った方にはとにかく挨拶。
おじゃまします!と。
myu2さんのお友達をたくさん紹介していただき、REALDRIVEの店長さんにも再会出来た♪

なんだかお祭りみたい♪



北海道のサーファーさんはとにかくフレンドリーだ♪



しばらくワイワイガヤガヤし、スモッティーさんを探しに奥の方へ行ってみる。
あれ?車が見当たらない。
タダクマさんが来ていたので聞いてみると。    一度来て帰ったそうだ。
今日、友達やREALDRIVEさん達とも浜厚真で会うんです!  と、話していたので。

あっ。  スモッティーさん気を使って…。  と、自分にはすぐにわかった。

myu2さん達の所に戻ると、みんな海に行ったようだ。  すぐに準備をして自分も海へ向かう。
サイズは昨日よりさらにさがりセットでひざ。
でも、そんな事は関係ない♪
そこには笑顔で波乗りを楽しむサーファーさんがたくさんいるのだから。
海に入ると周りはさっきビーチでお会いしたサーファーさんばかり♪

みんな冗談をいい合ったりひざのセットが入ると大騒ぎ♪  この雰囲気、最高!!
中でも小学2年生の女の子がロングライドを決めた時などは。
拍手喝采の嵐だった♪

自分も一本波を分けてもらい波に乗せさせてもらった。
みんながひゅー!ひゅー!と囃し立てる(笑)
そこには波の取り合いで苛立つサーファーさんもいなければ、セットを総取りしてしまうロングボーダーさんの姿もなく。

楽しむ事。
短い夏を思う存分満喫している。  そんなサーファーさんばかりだった。

ちゃんと乗ったのは一本だが、それで十分満足だった。
それよりこの輪に加わり一緒に楽しめている事が嬉しかった。

海上がりに。  久々に。  やってしまった♪
『サーフィン!!』  『最高☆!!』



*皆さん楽しい時間をありがとうございました!
またいつかどこかで、一緒に波乗りしましょうね♪

myu2さん達とも『また!』と、それぞれがポイントを後にする。

何度も言うが。  別れを悲しむのではなく。  再会を楽しみに。
出会えたことに感謝するのだ。
それが一期一会だと。  自分は思う。

相変わらず深い砂地にハンドルを取られながら浜厚真を後にした。

苫小牧へ向かう途中。
旭川のKONA SURFさん達にお会いし応援して頂いた♪



そして夕方。
ウィンドのNさんに話しを聞いていた苫小牧のサーフショップ BRAYZさんに立ちよった♪



*ステッカーありがとうございました!

この二日間。  浜厚真に集まるたくさんのサーファーに応援していただき。
そのフレンドリーな雰囲気に改めて楽しむ事の大切さを確認出来た。

サーフポイントは必ずしもいい波が立つのがいいポイントではない。
いいコンディションの時がいい波とも限らない。
オンショアのひざ波でも。  始めてスープに押されフラフラしながら乗った波は最高だったはず。
そういう気持ちを忘れずに、持ち続けながらサーフィンを続けていくことが。

自分にとって。  サーフィンの永遠のテーマだ。

ではまた!

 

第百十四話  Great Surf jorney Day-40~41 
“ ITANKI SUPER SESSION! ” 08-29 & 30

29日朝。
白老の街を出る。
まずはKポイントでイタンキのTさんと待ち合わせだ。

ポイント到着。
と、ここで。  たまたま波チェックに見えたMさん。
なんと3年前に沖縄のシーナサーフでBOSSの手ほどきを受け。

そこからサーフィンライフがスタートしたらしい♪



まさかの出会いにまずはびっくり♪
ローカルさんも皆さん声をかけて下さりなんだか楽しい時間。



しばらくするとTさん到着!



『お久しぶりです!』  『おぉ~やなっち!』とTさん。
さらにしばらくすると、スモッティーさんも来て下さった。

海を眺めるお二人。



長い長い北海道のサーフィンの歴史の中で。
きっとたくさんのサーファーさんと海の移り変わりを見て来たんだろうなぁ。
と。
海を見ながら話しているTさんとスモッティーさんを見ながら、そんな事を思ったりした。

Tさんから。
『DOVEのTさんから!』と。



DOVEの35th記念ステッカーを頂きおおはしゃぎな自分♪
*DOVE・Tさん!ありがとうございました♪

さてここからイタンキ浜へ移動だ。  Kポイントから2時間くらいのんびり移動。

イタンキの看板発見♪
そして到着。
そこにはイタンキのローカルさん達が。



自分が自己紹介するより早く、Tさんとスモッティーさんが皆さんに自分を紹介してくれる。
その度にちょっと大袈裟なその紹介っぷりに照れ笑いの自分(笑)
『いや~波があればね~!』とローカルさん達は口々に。
今日のイタンキはNO SURFコンディションだ。
確かに波乗りが出来ないのは残念な気もするが。  その分ローカルの皆さんと話しが出来る♪

この旅はサーフィンすることだけが目的ではない。  波との出会いと、人との出会い
それを求めてのこの旅だ。
例え波が無くても。  そのポイントを大事にするサーファーさんと話しが出来ること。
それはサーフィンをすること同じ位大切なことだ。
そのポイント事に印象的な波があり。  思い出になる出来事があり。
そして熱い心を持った人達がいるのだから。

さて。
Tさんとスモッティーさんとイタンキ浜を散歩にいく。  イタンキ浜は鳴き砂のビーチで有名だ。
スモッティーさんに鳴き砂の歩き方を教わりさっそく挑戦。



きゅ♪きゅ♪きゅ♪
足を伝わる感触が面白い♪  きゅ♪きゅ♪きゅ♪

やなっち!上手いな~(笑)と、華麗な鳴き砂ステップを絶賛され。
調子に乗って。
きゅ♪きゅ♪きゅ♪きゅっ♪と(笑)

三人が妙な歩き方で砂浜を練り歩く。

きゅ♪きゅ♪きゅっ♪

妙な足取りで浜の奥まで歩き。
イタンキ浜のボルコム岩をバックに記念撮影♪



そしてこの後。
歴史的なセッションがこのイタンキ浜で繰り広げられる事となる。
その火蓋を切ったのは。

スモッティーさんだった(笑)



うぉぉ!ってな感じでスモッティーさんの雄叫びがホイッスルがわりになり。
真っ先にパドルアウトしたのはスモッティーさん。
続いて自分。  そしてTさんと。  みんなポジション争いに必死だ♪

スモッティーさんがAirを決めれば自分はチューブ狙い。

そんな中。
ひとりセットを待ち続けるのはイタンキのTさんだ。



そしてこの日の最大級のセットを掴み。
見事なテイクオフ!



優勝を決めた伝説のライディング♪  流石はローカルさんだ。  イタンキの波を知り尽くしている。

波が無くても。
サーフボードが無くても。
遊びには楽しむ心さえあれば十分だ。

なんだか、ボディーサーフィンで波乗りの原点を感じた気がした。

大笑いしながら海から上がり、イタンキ浜の風景を楽しみながら歩いていく。



なんだか外国みたいで、エンドレスサマーの1シーンのようだった。

ローカルさん達の集まっている場所に戻ると、YU-JIさんがいらして。
何やらハコブンダーにいたずらを?



では無く。
DOVEのステッカーをハコブンダーの右フェンダーに貼って下さった♪



そしてこの後。
自分が皆さんにおねだりして記念撮影♪



Tさんを筆頭にYU-JIさんSさんJさん。  それからイタンキのキムタクさん。
後ろの美女三人組は。  イタンキチャーリーズエンジェルの皆さん(笑)
そしてスモッティーさん。

また思い出に残る写真をが一枚増えた♪
*イタンキのローカルの皆さん!
楽しい時間を本当にありがとうございました!

今日は家に泊まっていきな!とTさんが言って下さったので、そのお言葉に甘える事に♪
すると、温泉に行く事になり。
温泉大好きなYU-JIさんオススメのオロフレ荘へ



かの有名な。  登別の奥座敷、カルルス温泉だ♪
イタンキ浜ではしゃいだ汗と砂を落としてさっぱり♪

そしてこの後。
室蘭名物の焼鳥を食べに人気店の一平さん連れて行って頂いた♪



室蘭焼鳥は。  焼鳥なのに豚肉が串に刺さっているのだ♪



それに辛子をつけていただくのが通の食べ方。
次から次へとテーブルに並べられる焼鳥さん。
話しも弾む♪
そしてお酒も進み。



話しの中心は昔の波乗り話しへ!
あの時どこどこのポイントで誰々がさぁ~(笑)  とか。
あの時のあの波は凄かったなぁ!  とか。
○○は最近どうしてるのかな?と昔の友達の話しが出たり。

もちろん。  自分には何がなんだかわからないが。
TさんスモッティーさんYU-JIさんが懐かしそうに。
そしてすごく楽しそうに話している姿が印象的だった。

前にスモッティーさんが言っていた。
サーフィンをしている時はその瞬間、瞬間に心のシャッターを切っている。
と。
その心に焼き付けた波乗りの記憶が、今自分の目の前で再生されているのだ。
その場にいなくても。
そこに出てくる登場人物がわからなくても。
その表情や話し方から。  その場面が手に取るようにイメージ出来た。

そしてこの場面を。
心のシャッターをおろし楽しい記憶として心に残している自分がいた。

TさんスモッティーさんYU-JIさんに温泉から食事までご馳走になってしまい、さらにTさんのご自宅で就寝。
あっという間に眠りに着き。

30日-------------------------------------------------------

そして朝になった。

『おぉ!やなっち!起きたか♪朝ご飯食べていきな!』とTさん。
しっかり朝ご飯をいただき、お昼にとおにぎりをと♪
*ごちそうさまでした!朝ご飯も特大おにぎり美味しかったです!おやつまでありがとうございました!

お昼前に。  Tさんともう一度イタンキ浜へ。
やはり波はなかったが、ポイントについていろいろ話しをしてくれたTさん。



昔の波を思い出しながら話しをしてくれたのがすごく印象に残った。

そして出発。
自分が迷わないようにと国道の入り口まで徐行運転で案内して下さった。
本当に心の優しい方で。
なるほど、このTさんの下でイタンキのポイントは育まれて来たんだな~。
と。
そう感じた。

*Tさん本当にお世話になりました!イタンキの雰囲気すごくよかったです!そして今回はサーフィンはできませんでしたが、いつかイタンキの綺麗な海でサーフィンをして見たいです!
ありがとうございました!


函館を目指して走り始め。  しばらく走り。  信号が赤に変わり。  信号待ち。
ふと。  
左を見ると。



あぁぁぁ!  あれは!!  剛さんだ!
東京~札幌間をリアカーを引き、ゴミ拾いしながら旅をしている、福島であった剛さんだ♪
まさかここで再会出来るとは!

もうびっくりだし嬉しいし♪



お互いに再会を喜び合いながらしばらくあれこれ話していた。

剛さんの旅は後少しでゴールだ。
この後、登別~白老~苫小牧~千歳~恵庭~札幌といったルートだ。
自分を応援してくれた、たくさんの北海道の皆さん!
もし、剛さんを見かけたら。
自分にしてくれたのと同じように応援よろしくお願いします!



そしてチャンスがあれば話しをして見てください。  きっといい話しを聞けると思います。
自分も福島で始めてお会いした時、すごく感銘を受けました。

『ゴミ拾いは徳拾い♪』です。
今夜は久しぶりの道の駅泊です!

あと何日かかるかわかりませんが、函館目指して顔晴り(頑張り)ます!

ではまた!

 

第百十五話  Great Surf jorney Day-42 
“ 冒険の記憶 ” 08-31

今日は暑かった。

予定より早く目的地に着いたので。  早めにライダーハウスにお世話になり。
体を休める事にした。

昨晩は雷とスコールのような雨。  気温も下がらず蒸し暑い夜。
北海道なのにまるで熱帯の国のようだ。

あまり寝れず。  明け方から走り始めた。
今日は静狩峠を越えて長万部へ向かう。
6時前だと言うのにかなり蒸し暑い。  北海道でこの様子だと。
本州や四国、九州そして沖縄は…。
考えただけでぞっとする。  沖縄に接近中の台風も気になる。  
みんな大丈夫だろうか。

朝から汗をたらしながら。  交通量の少ない国道を進んで行く。

最初の道の駅に休憩がてらによってみると。  大学生だろうか。  三人のチャリダーがいた。
鹿児島から日本縦断の旅の途中で一昨日函館に着いたようだ。
ゴールは稚内の宗谷岬。

そっかぁ。  今から北海道を走るんだぁ。
と、思い。
北海道二日目に会った徳島の日本一周バイカーさんがくれた、北海道旅の最強ツール。
0円MAPを彼等に譲った。
*格安のキャンプ場やライダーハウス、温泉等の情報がたくさん載っている。

ゴールを間近にした彼等。
リアカーゴミ拾いの剛さんも。  その長い旅路の先にゴールが見えている。
今、どんな気持ちなんだろうか。  早くゴールに着く事だけを望んでいるのか。
それとも。
旅が終わってしまう事に淋しさを覚えるのだろうか。
そんな事を思うのも。  
今日が今日だからなのかもしれない。

8月31日
夏休み最後の日だ。
夏の自由を謳歌し過ぎて。  子供ながらに現実の厳しさを思い知らされる日である。

夏休みと言えば。  とにかく遊んだ。
近所の友達がいれば缶蹴りにドッジボール。
ごみ箱の蓋を盾にして水風船を投げあい戦闘ゴッコ♪
結局、最終的にはマシンガンに匹敵するホースからの放水攻撃で幕を閉じる事になるのはいつものパターンだ。

一人で裏山にクワガタを探しに行き。
すずめ蜂に追いかけられ、信じられないようなスピードでダッシュしたり。
特別どこに行かなくても。  家の回りが最高の遊び場だったのは小学生の頃だ。

中学生になると。
さすがに家の回りで缶蹴りとかでは遊ばなかったが。
クーラーの効いた部屋でテレビゲームをした記憶は全くない。
部活動に勤しみ。  それ以外の日は。
当日、大流行したマウンテンバイクにまたがり。
(多分)20~30㌔離れた山奥の川に遊びに行くのがただただ楽しかった。

川で魚を捕まえたり。
岩の上から飛び込んだり。
ドキドキしながら誰かが持ってきたライターでたき火をしたりして。

西側に山があるその川は。  日が暮れるのも早く。
薄暗くなってきた時に聞こえてくる蜩の鳴き声が、思い出の風景と共に耳に残っている。
帰りはみんな泳ぎ疲れて、無言のまま列をなして家路に着くのだ。
決まって帰りによっていた中川商店のおばちゃんは。
多分自分達が二つも街を越えて川に遊びに来ているとは知らなかっただろう。

大人になってからその川を見に行った時。
手付かずだった河原が綺麗?に整備され、あの時の風景を僅かに感じられるだけ単なる川になってしまっていた。

今の子供は外で遊ばない!とか言うが。
その遊び場を奪ってしまったのは大人であり今の自分達なのかもしれない。

誰が言い出したかは記憶がないが、仲良し5人組で泊まりがけのサイクリングに行った事があった。
地元の神奈川から、箱根の峠を越え、伊豆の修善寺まで。
必死で箱根を越え始めて自分達の力だけで隣の県に行ったのだ。
その当時の自分達にとっては隣の県は海外に匹敵する場所だった。

去年だっただろうか。  当時の写真を見て大笑いしたりした。
その写真にはあどけない顔の仲間がいて、その笑顔は今も昔と変わらなかった。
大冒険の中で苦楽を共にした仲間との思い出は今でも色褪せる事はない。
その大冒険の記憶が今のこの旅に大きな影響を与えているのは言うまでもない。

何だか、今日は思い出話しばかりになった。
襟裳のイチローさんが言った一言を思い出す。
『この旅を今後どうやってFeedbackするか。それが大事だね。』と。

この旅の記憶は。  10年後20年後30年後に。
どんな思い出として自分の中に残っているのだろうか。

あの時の旅があったから今の自分がある。
と、そう言っている自分がそこにいると信じて。

なぜか苦い思い出の多い夏休み最終日の日記を書き終える事とします(笑)

ではまた!

 

第百十六話  Great Surf jorney Day-43 
“ そこに○○がある限り! ” 09-1

長万部~八雲~森(砂原)まで65㌔程移動。
今日も熱さとの戦いだった。

朝起きたら既に8時半。
ライダーハウスの外に出て見ると。

自転車日本一周      ~ サーフィンの旅 ~-DVC00305.jpg

むわ~っとした熱さが襲ってくる。
『わや!なまら熱い!』と覚えたての北海道言葉を巧に操つってみる。

あちこ水溜まりが出来ている。  夜中に雨が降ったようだ。
照り付ける太陽と白い雲。



…。
今日も過酷な道のりになるなぁ~。
と、
自転車に備え付けの水筒に水を満たし。  タオルを濡らして頭に巻く。
津川雅彦さん似のライダーハウスのおじちゃんに。
『お世話になりました!』と声をかけていざ出発。

トラックが、けたたましく走り抜ける国道の路肩を走っていると。
前方になにやら不思議な物体を確認。



近付いてみると人力車だった。



大学生達が交替交替で人力車を引きながら釧路~函館を歩いているようだ。
普段より三倍力強くペダルをこぎ、『頑張ってね♪』と涼しげに、かつ余裕の表情で人力車を追い越した。

思えばいつも抜かされてばかり。
北海道に入って始めて抜き去ったのがこの人力車のような気がする。
*同志社大学の皆さん!無事函館に着くように応援してます!

さて。
いよいよ日差しも真上から容赦なく照らしてくる昼下がり。
アイスをむさぼりながら日陰で休んでいると。  商店のおばあちゃんが。
『私も自転車でお兄ちゃんみたいなことしてみたいよ♪』と。

80歳になると言っていたおばあちゃん。



『おばあちゃんなら出来ますよ!』と、なにも無責任に話しを合わせた訳ではない。
挑戦するのに年齢も性別も関係ないのはこの旅で出会った人達が教えてくれた。
やりたい!と言うその気持ちがあれば十分であり、可能性は誰にでもあるからだ。

おばあちゃんの気持ちに、まだまだ負けてられない♪と、再びチャリを漕ぎ出すと。
もくもくもく♪  ゴロゴロゴロ♪



雨雲だ。
普通なら。  うわぁ…。  となるが、  今日は。  よっしゃぁ!!  と、なった。
雨にあたって暑くなった体を冷やしたいのだ。

ポツポツポツ♪と降り出した雨。
もっと降れ~!  と、思っていると。   いとも簡単に雨は上がってしまった…。



軽く路面を濡らし、さらに湿度を上昇させてくれたにわか雨。
水筒に入れた水を頭からかぶり気合いを入れ直す。

しばらく走って行くと。  路肩に水溜まりがたくさんある。



…。
こ、この展開は…。

やりますかぁ♪  びゃぁぁっと♪  水溜まリングを♪
かくして第二回水溜まリング選手権は開催されたのだ。

青空が水面に移る水溜まりをびゃぁぁっと♪疾走する。



トトロがさつきから借りた傘に落ちてきた水滴に最初は驚き。
そして病み付きになった感覚と一緒だ。

やればやるほど。  エスカレートしていく(笑)



しかし、今日はいまいちスピードが足りない。
平坦な道が多いからだ。
ムキになって自転車をこいでもなかなか理想の進入速度には達せず…。
だんだん路面が乾いて来て。  水溜まりもなくなり。

しりつぼみに終了…。

THE◎水溜まりを探す旅はまだまだ続くだろう。
日本中。
そこに水溜まりがある限り(笑)

目的地の道の駅に到着し。  日が暮れる頃。  一人のバイカーさんがやって来た。
フリーのテレビ番組のディレクターさんだった。
自分でも見たことのある番組を作ってきた人だ。

ついさっきまでずっと話していた。
取材で色んな国に行き、色んな人と話しと経験をして。
なんだか自分の知らない世界をたくさん見て来た人だった。
子供が絵本をおねだりするように。  わくわくしながらたくさん話しを聞いた。

日本の広さに驚いている自分には。  世界の話しは刺激が強すぎた(笑)
インターネットで簡単に情報が手に入る時代に。
旅先で出会った旅人から得る情報はすごくリアルで新鮮だった。

では!

 

第百十七話  Great Surf jorney Day-43 
“ 緊急事態? ” 09-2

道の駅での野宿が一緒だった番組ディレクターのSさんに。
朝、コンビニでいろいろ買ってもらってしまった。



Sさん曰く。  『君は得な性格をしてるよな(笑)』と。
はてはて?
*Sさん。ごちそうさまでした。それから楽しい話しをありがとうございました!
さて。

いつものように走り出す。
今日はどこまで行くか決めていない。
出発直前まであれこれ考えたが。  

結局。  『ん~。行き当たりバッチリで♪』と、走り出した。

相変わらず今日も熱い。
しばらく走り。  大好きなセイコーマートを発見♪  特に用はないがちょっと一休み。

すると。
一人のチャリダーさんが。
『あぁ!あなたのこと途中で聞きましたよ!リアカー引っ張ってる人がいるって!』と。

愛知のM下さん。



どうやら広尾のキャンプ場が一緒だったM本さんから青森で聞いたらしい。
ちょっとびっくりしたが、M下さんとの出会いを作ってくれたM本さんに感謝だ。

さて、またしばらく走ると。  函館のローカルさんが声をかけて下さった。
Bar BAMBOOのKさんと。
函館のライダーハウスのオーナーさんだった。



椴法華Pの情報を聞くと。
残念ながら今日はNO SURFコンディションらしい。

この先にあるポイントや函館のポイントを教えてもらったり。
函館についたら遊びにおいでね!と、言って下さった。
*差し入れまでいただきありがとうございました!

さて。
もっと遠いと思っていた椴法華Pにあっさり到着。
すると。
一人のサーファーさんの姿が♪

Jさんだ。



僅かな期待を胸に海に入ったが残念ながら波が割れ辛く、干潮のピークも過ぎてしまったので上がってきたところだった。
*Jさん。いろいろ情報ありがとうございました!

Jさんが帰った後。  ビーチに遊びに行ってみた。
景色も綺麗で後は波があれば最高だが、せめて雰囲気だけでも味わおうと。

流木サーフィン?
結構ノリノリで♪  セルフタイマーで(笑)  ご覧ください!

華麗なる流木サーフィンを♪







お粗末様でした(笑)

と、今日ものんきな日として終わるはずだった14時58分に。

トラブル発生!!
椴法華のビーチを後にした直後だった。

ぷしゅぅ♪  ぴゅぅ~♪  シュルシュルシュルぅ~♪  と、聞き慣れない音が足元から。

ん?  あっ…  パンクか…。
と、空気の抜ける音だと気付き。
ついに自転車がパンクしたかと。
意外と冷静にパンク修理の段取りを考えながら自転車を降りる。

しかしまぁ。  今まで5000㌔以上の道のりで自転車は初のパンク。
ここまでパンクしなかった事が奇跡に近い。
今まで良く頑張ってくれたよなぁ~。  とか思いながら。  タイヤを見てみると。

事態はパンクより深刻だった…。

ホイールの一部が折れ?てしまい…。  タイヤに突き刺さったようで…。



こうなると。
ホイールを交換しない事にはチューブをどうこうしても、どうにもならない。

一瞬唖然とする自分。
回りにはたまに民家があるくらい。
自転車屋さんは函館市内に行かなければ修理は不可能だ。

でも唖然としたのは本当に一瞬だった。
その一瞬で、助けを呼ぼうか?とか函館までヒッチハイク?とか考えたりしたが。
どれも自分の中でベストの答えではなかった。

『歩くかぁ♪』    それが結論だった。

ひとまず。  今日の寝床はあと10㌔以内。  
これから峠道だが。  2~3時間あればたどり着く。
そして明日は自転車屋さんを目指して函館まで40㌔位歩く。

ただそれだけの事だ。



だって自分には動かせる足があるんだし。  歩いて旅してる友達だっている。

もともと。
気持ちの切り替えは早い方だったが、旅に出てから更に早くなった気がする(笑)

それから。  もうひとつ。  旅で学んだ事がある。
いつか自分に起きるであろういい事は。  悪い事の延長線上にあるってことを。

すべてが繋がってる。

そして、一見ついてない出来事でも。  角度を変えてみてみたら。
例えば。  今日もし波があったとしたら。
多分。  寝所まで10㌔の道のりを一時間と計算し。
椴法華でぎりぎりまで波乗りを楽しんでいただろう。
そして、トラブル発生。
暗闇の中、峠道を自転車を押しながら歩くはめになっていただろう。

そして。  きっとこのトラブルも。
次に起きる何か素晴らしい事の、きっかけと考えてみると。
最悪の事態も。  たいした事ではなくなるのだ。

さぁ!
明日は40㌔先の函館まで歩けるかなぁ♪
と、そんなチャレンジ精神がメラメラと沸き上がって来たりする(笑)
なんだか明日が楽しみになってきた♪

とりあえず今日は早く寝て。
明日は朝一に出発します!

ではまた!

第百十八話  Great Surf jorney Day-45 
“ よく頑張ったで賞! ” 09-3

朝5時。
野宿した恵山にある道の駅を出発した。  目指すは40㌔先の函館だ。
しかも今日は歩き旅。
どうなることやら♪

40㌔歩かなければならない事より。  自分が40㌔歩けるのか?
と言う楽しみの方が大きい。

最初の10㌔。  なんだ♪楽勝楽勝♪
と、子供がおもちゃ売り場にダッシュしそうになった所を咎められた後の早歩き位のスピードで♪
さくさくと進む。



この分だとおやつは函館で食べる事になりそうだ。

次の10㌔。  少しペースダウン。
大好きな体育の授業と大好きな給食が重なった日の登校時位のペースだ。

20㌔を過ぎた頃。  雨と風が強まってきた。



雨宿りがてらにセイコーマートへ。
ここで。
歩き旅のKENGO君の言っていた意味がわかった。
『一度止まると、ダメなんですよね~。』と。

学生時代さながらのコンビニ座り込みランチ。
立ち上がろうとすると…
足の内ももが痛くて立てない。

あれ?  なんで?
急な足の異変に少し動揺。  しかし歩かなければ。  進まなければゴールはない。

足はまさしく棒のようになり。水溜まりが余計に体力を奪う。



歩きの彼女を自転車を押しながら家まで送って行く、
そして家が近付きまだ話し足りずにのろのろと進む。
そんな甘酸っぱい速度でなんとか歩いて行く。  かなり悲惨な顔をしながら。

目の前の一点だけ見つめながらただただ本能で歩く時間が続く。
足を止めればかえって辛くなるのはわかっているが。  
少し体を休めなければやばいな…。  と、休憩できる場所を探し始める。

ふとみると。
昨日Jさんに聞いていたサーフショップを発見。
しかし休み?

写真だけとって先に進もうとした時。  お店の方が追いかけて来て下さり。
ショップに招いて下さった。
そして。
SATORUさんが飲み物を出してくださった♪  しかも自転車屋さんを調べて下さった。
しかし函館の駅近くに行かなければ自転車屋さんはなさそうだ。

これ以上足を止めたら動けなくなると思い。
SATORUさんにお礼を言い出発。



*飲み物やステッカーありがとうございました!
大会頑張ってください!

残り7㌔。  函館山だろうか。



ゴールも大分近付いてきたようだ。  が、足は思うように進まない。
海から吹く風に煽られふらふらしながらも自転車を引っ張りながら進んで行く。
残り2㌔。
意識はかなりあやふやな状態で保たれている。

その時、すれ違い様のAさんが声をかけて下さった。



『さっき歩いてるの見ましたよ!』と。
愛知からサーフトリップにきたそうだ。
そしてこの先でサーフィンをしている人がいたとの情報を♪
少し体に力が蘇る。

そして。
少し歩き。  ちらっと左の海を見ると。
昨日お会いしたKさんがそこにいるではないか!!



そしてその先には信じられないような波が♪



再会を喜び、Kさんにおねだりをした『一緒に海はいってください!』と。
すでにこの波を見た時点で自分がここまで歩いて来た事さえ忘れている(笑)
サーフィンの体力は別腹らしい。

『体疲れてるだろうから無理するなよ!』と今日の自分の道のりを知っているKさん。
『はい!足攣ったら上がります!』と約束しパドルアウト♪



*写真はKさんの奥様が撮影してくださいました♪

このポイント。
特に夏場は滅多に波は立たないらしく。  ローカルさんでさえ驚いている様子。
しかも。  午後になって急に波が上がり始め。  今まさにサイズアップ中と言った様子で。
しかも風はオフショアだ♪

雨に降られ。  風に煽られ。  約40㌔歩いて来たご褒美には十分すぎた♪

もし昨日。  自転車が壊れなければ。  この波には巡り会えていない。
やっぱり悪い事はいい事の前触れだ♪

海には。  最初にいたサーファーさんと。  Kさんと。  自分だけ。
自分はグーフィーの方に行ったのでピーク貸し切り。
なんて贅沢なんだろうか♪

乗る。


乗る。


潜る!


しかしこの見事なドルフィンが疲れた体には酷だった…。
ふくらはぎに違和感が…。
痛たたたたっ!  軽く足を攣り…。
入る前に約束したように。
無理はしないようにあと一本で上がる事とした。

セットを待つ。  しばらく待つ。
来た!
全力でパドルにばた足!

ピキーン♪

うわっ!と思ったが。
えぇい!と超ヘタレテイクオフ(笑)



しかし。
うまく乗ろうが乗れなかろうが。
この波に巡り会え、形はともあれこうして波に乗れた事。
本当に本当に嬉しかった。

先に海から上がり。
後はひたすらローカルさんのセッションをカメラと心に焼き付けた。

Kさん♪


Jさん♪


Yさん♪


自分が上がる頃。  続々とサーファーさんが集まって来た。
皆さんすごくいい人達で♪
*皆さん本当にありがとうございました!
このタイミングでこの場所に来れてよかったです!

現在。
テンションはかなり高めにも関わらず、体が睡眠を欲しているので。
ひとまず今日の日記はここまでとします!

ではまた!

函館ライダーハウス:ウィロビーより

 

第百十九話  Great Surf jorney Day-46 
“ 情熱の職人魂 ” 09-04

金曜日の夜。
函館のライダーハウス:ウィロビーさんにふらふらしながら転がり込む。

オーナーのH・Tさんは、最初は寡黙な人かと思ったが。
サーフィンに対する情熱を静かに、しかし誰よりも熱く燃やしている人だった。

その日の夜。
登山好きのおじさん一人と。  波乗り好き二人。

いろいろ話した。
波乗りと登山。  一見話しが噛み合わないように思えるが。
自然に対する感謝の気持ちと畏敬の念。
そこには共通点がたくさんあり、フィールドは違えど同じ感覚を共有している事がわかった。

いや。  フィールドは同じだ。  地球と言う星の自然がフィールドなのだから。
三人の熱い話しは涼しいはずの北海道の夜さえ熱くした。

翌朝。
さぁ。  今日は自転車の修理をせねば。

街にある自転車屋さんを尋ね回る。
『すいません!直りますか?』
『…いやぁ部品がないね…』  『うちの店ではちょっと…』  と、立て続けに断られた。

断る自転車屋さんの表情を見ると。  少し焦り始めてきた。
あれ?もしかしたら、この故障はちょっと厄介な状況なのかも…

直らなかったらどうしよう…。
と、弱気になりながら次の自転車屋さんへ。

街の自転車屋さんは。  年々その数を減らしている。
大型の量販店やインターネットの影響だろう。
正直、どこのお店も活気がなく、主人の目には力がない。

次のお店にたどり着くと。
タイヤのパンク修理を待っているおばさんと、修理中のお店のご主人がいた。

お店の前に自転車を止めると自分にちらっと目をやった。
そして自分の姿を見て『ちょっと待ってて。』 と、今は修理に専念している。
おばさんの自転車のパンク修理が終わったかと思ったら。

そのまま、頼まれてもいないのにブレーキやチェーンを確認し、整備しだすおじさん。
その姿を見て。
あっ!このおじさんならなんとかしてくれるかも!
と、その自転車に対する職人魂を強く感じ、それが期待に変わった。

おばさんの自転車の修理と整備が終わり、次は自分の番だ。
おじさんに自転車を見てもらう。
『リムかぁ…。』
自分はあまり知識がなかったのでホイールだと思っていたのだが。
壊れた箇所をリムと言うらしい。

『残念ながらうちには在庫がないなぁ。』
と、おじさん。

あぁ…やっぱりダメか…。  と、肩を落しかける自分。
すると。
『うちには(リムのストック)ないけど問屋に行けばあるかも知れないな。』
と、おじさんはまだ自分を見捨ててはいなかった。

そして、次の瞬間には軽トラに乗り込み。  ぶーん!と自分を残して走り去っていってしまった。

しばらく不安の中でおじさんを待っていると。
新しいリムを手に持ったおじさんが自分の前に登場した。
『安心しな!これで(沖縄まで)戻れるから!』
と。
おじさんは笑った。

しかし作業を進めて行くと。



故障していたのはリムだけでなく。
スポークが一本と。  後輪のシャフトも折れていた事が発覚した。

次々に起こる難題に。  おじさんはあれこれと試行錯誤し。
決して諦めず。  職人としてのプライドを持って修理をしてくれた。

そして3時間後。  自転車は直った。

自転車屋さんとサーフショップは似ていると思った。
どちらも量販店やインターネットで手に入れられるが。

売るだけ。  買うだけ。  そこに情熱はない。

サーフショップや自転車屋さんには。  物のやり取りだけでなく。
人と人の。  心のやり取りがある。
そんな気がした。

*おじさん本当にありがとうございました!

 

 

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