第百七話  Great Surf jorney Day-32 
“ 備えあれば♪ ” 08-21

『お~い!そろそろ起きんか?』とK本さんのモーニングコールで目を覚ました。

『ぉはょうご¥∞@§』とまだ夢心地の自分。
最近。  テントの中が一番良く眠れる。

ゾンビのようにテントから這い出し。

自転車日本一周      ~ サーフィンの旅 ~-DVC00041.jpg



K本さんのテントの方へ。
『今コーヒーいれたるわ!』と。  今度はモーニングコーヒーだ♪
パンやゆで卵、キュウリにすももと、たくさん朝ご飯を食べさせて頂いた。



K本さんは今日はそのままここでゆっくりするそうだ。
自分は次のキャンプ場まで70数㌔の道のり。
でも地図を見る限り険しい道のりではなさそうだ。

荷物をまとめ。  K本さんに挨拶に行くと。
『どうせまたどっかで会うやろ。堅苦しいんは無しやで』と。



なので『ごちそうさまでした!じゃあ、お先に行って来ます♪』と浦幌のキャンプ場を後にした。
*K本さん!いろいろお世話になるました!またどこかで!

今日も相変わらずいい天気だ。



途中。  大きな川を橋で渡った。  十勝川だ。



こんなにでっかい川なら♪  もしや!と、思い国道を逸れ河口を目指す。
寄り道だ。
グレートジャーニーの関野さんは。  『寄り道にこそ発見がある』と言っていた。

比較的平坦な道のりなので時間的余裕もある。  そのまま海を目指す。
しばらく進み。  やっとの思いで海への入口を見つけた。

岩手以来、久々に見た急勾配。



たった5㍍くらいだが…。   急坂を登ると。  波の音が聞こえる。
はやる気持ちに身を任せ。  砂浜を全力疾走。

やっと目にした海。  荒涼とした砂浜に鴎の群れが舞っている。



演歌が似合いそうな雰囲気だ。
波のほうは?



オンショアに煽られてひざ位の波がインサイドでブレイクしている。
出来ない事はなさそうだがなんとも言えない。
地形とうねりさえ合えば凄い事になりそうな気がする。  が、確証は無い。

その後。  更に海沿いを走っていると。
雰囲気的には神奈川の平塚エリアのような感じでたま~にインサイドよりでタラタラと波がブレイクしている場所を発見するも。



海に入れば確実に。  釣られてしまう…。



ここも地形しだいでは大変な事になるのではないだろうか?
などと思いながら自転車を走らせた。

北海道は街と街の間が離れている。  そして、その間にはほとんど何もなく。
ちょっと休憩♪と足を止められる場所が少ない上に、日中は日陰があまりない。
なので木陰を見つけひと休みすることもしばしばだ。



しかし。  たいていの場合は。  虻に急かされ、泣く泣く走り出す事になる。
そう。  虻との戦いは毎日のように繰り返されている事は言うまでもない。

最近わかった。  最初は虻を追い払おうと。  自転車を停め立ち向かった。
帽子やタオルをヌンチャクがわりにブルースリーのように。
しかし。  それは。  彼等を悪戯に刺激するだけだと気付いたのは最近の事だ。

若干話しが逸れているがそのまま行こう。
虻を追い払おうと、こちらがバタつけばバタつくほど。  彼等は喜ぶのだ。
ちょうど。  嫌がっている子供に犬がじゃれつくのに似ている。
こちらが暴れれば暴れるほど。  彼等は興奮し、ブンブンと回転数を上げてくる。
逃げ惑うカステラと牛乳の踊り食いな訳だ。
そうなるともう彼等は止まらない。  しゃかりきになって追いかけてくるのだ。

そんな戦いにも、ほどほど疲れ果てたころ。  編み出したの作戦が。
『肉を切らして骨を断つ作戦in北海道』だ。
飛び交う虻を叩き落とすのは至難の技だ。  が、止まっている虻なら別だ。

自転車で走っているときに彼等がターゲットにする箇所は。
決まって左右のすねと左右の肩口だ。
彼等は一度食いついたら意地でも血を吸おうと躍起になる。

それが彼等の弱点だ。

虻がポイントにタッチダウンした瞬間ではなく。  0.5~1秒我慢する。
タッチダウンした瞬間はまだ警戒心が解けていない。
その時に叩こうとしても、こちらの殺気を感じてすぐにテイクオフしてしまう。
だから待つ。
虻が『おっ!しめしめ♪こいつは気付いてないな♪』  『じゃっ!いただきま~す!』
の瞬間に。  狙いすました鉄槌を食らわすのだ。

自分も。  無益な殺生はしたくない。  が。  降りかかる火の粉は払わなければならない。
こうして今日も。
パシッ!  パシッ♪
と、音を山にこだまさせながら北海道の道を走るのである。

いい加減話しが逸れすぎた。

と、そんなこんなの山道で。  以前に感じた事のある、嫌な感覚を感じた。
酔いそうになるくらい。  サドルがグラグラするのだ。
『あっ!これは!!』
数日前から前兆は出ていた。  段差や振動でギシギシと異音がするのだ。
なのですぐにわかった。  シートポストが折れたのだ。
そう言えば。
オホーツク海側を走っているときに。  チャリダーさんが。
シートポストが折れてしまい旅を断念し自転車を宅急便で送り返す場面に遭遇した。
やはりチャリダーは半端ない荷物をキャリアに積むので、接続場所に相当負担がかかるのだ。

これは想定の範囲外な訳だ。
異変に気付き近くにあったパーキングに停車。  シートポストを外し確認すると。
案の定折れていた。





次の街まで後40㌔。  しかし、その街に自転車屋さんがある保障はない。
さて、困った
無理はしない♪  全て自分には想定内の出来事だ。
神奈川でも一度折れた事があったので。  北海道に入った時に。  万が一を考え。
荷物にはなるが札幌の自転車屋さんで予備を購入してあったのだ♪

ちなみに。
シートポストが折れてしまったチャリダーさんに自分のスペアを使ってもらおうとしたが。
サイズが合わず使えなかった。
その時はそのチャリダーさんの旅がそこで終わってしまうのが残念で仕方なかったが。
今となっては…だ。  残念だったような良かったような。  複雑な心境だ。

炎天下の中。  シートポストを交換し。  やれやれ。  と、一休みしていると。
『大丈夫ですか?』と一人のチャリダーさんが声をかけてくれた。
大学生のK君だ。



*K君!心配して声かけてくれてありがとう!

再び走り出すと。 やや西に傾いた太陽が容赦なく自分を照らしてくる+ライトな峠道に差し掛かり。
汗がダラダラ止まらない。  飲み物も底を付き。
…やばい。  干からびる…。  と、思っていると。

自販機を発見!!  助かった~♪
慌てて自転車を停め自販機へ。
すると。
そこにはチャリダーの先客が一名。



大阪のM本さん61歳。
定年退職後。  突然自転車を買い。  日本一周の旅に出たらしい。
K本さんもそうだし。  日本の高度経済成長を支えて来たおじ様パワーは素晴らしい。
M本さんも同じキャンプ場を目指していたようで。
明らかにペースの違う自分の後ろを一緒に走ってくれた。

そしてキャンプ場に到着。
山梨の日本一周チャリダーD君を交え三人で情報交換や苦労話で盛り上がった。



今日の夕食はパスタを茹でた。  またパスタだ。  でも今日はタラコスパゲティーではない。
ペペロンチーノ♪  2人前♪  だ。

そして今。  なんだか胃がもたれている。  ペペロンチーノには油が多く含まれているようだ。
これは想定外だった…。

ではまた!

 

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