~ちゃりんこ日本一周サーフィンの旅 番外編 ~歩旅最果島紀行~
第百九十一話 “ 出発の朝 ”  11-25


夜中に降り出した雨は。
自分の気持ちを少しくじかせた。
北風と強い雨足。

果たして明日。
マヤグスクの滝まで行けるだろうか…。
そんな不安を傍に感じながら。
いつしか朝を向かえた。

朝方には雨は上がったようだ。
しかしキャンプサイトのあちらこちらには水溜まりができ。
空は今にも泣き出しそうだ。


 

今回TAKAさんと二人で行く事になった山猫の城という意味を持つ

マヤグスクの滝。

そこまでの行程はこんな感じだ。
朝、浦内川に行き船で上流へ。
その後。
マリュドゥの滝、カンビレーの滝へ。
普通のツアーはここまでしか行かない。
逆に言えばそこまでは道がある程度整備されている。
らしいが。

マヤグスクの滝はさらにその先にある。

迷いやすいのでカンビレーより先に行く場合は入山届を出さなくてはならない。
カンビレーの滝を過ぎ。
西表横断道へ入り。
途中で横断道を逸れマヤグスクの滝を目指すのだ。
早歩きで。片道2時間半の道のりで。
休憩昼食を入れ順調に行って6時間。

日帰りでの問題点は。
船の時間にある。
9:30始発。
最終下り便16:00
船での移動が約30分なので。
船を下りてから帰りの船に乗るまでピッタリ6時間。
乗り遅れれば。
携帯の電波さえ届かない熱帯ジャングルの山で一夜を明かす事になる。

そして。
日帰りで行った人の話しでは。
時間に追われのんびりと滝を眺める時間さえ無いらしい。

迷ったら即アウト。

ならばと。
朝はのんびり出て。
今日はカンビレーの滝から少し行った第2山小屋跡でテントを張り。
明日の朝マヤグスクを目指そう!

と、そんな予定だ。

昨日Hさん達と食事をした時に聞いたのだが。
ハブはもちろん。

ヤマヒルがいるらしい…

山道を歩いていると。
靴に引っ付き。
クネクネしながら知らず知らずの内に靴の中に侵入し。
足の血を吸うらしい。
ちょっと想像するだけで。
怖い…(笑)

そんな恐怖心が自分に柔軟な発想を与えてくれた。

長ズボンの裾を靴下で覆えば。
ヒルも足には吸い付けまい♪
と。

しかし。
あいにく自分は長い靴下を持っていない…。
困った。
くるぶしソックスしかないのだ。
ならば!
と。

 
なぜかナイフを取り出し。
くるぶしソックスのつま先部分を切り落とした。
 
これでよし♪
後は。
穴開き靴下を逆向き履き踵をあわせる。
 

そしたら普通のソックスを重ねて履く。

 

 ほらできた♪(笑)
そんな訳で一つ問題をクリアした。

さて。
一番気掛かりな事がある。
横断道を逸れ滝を目指す時。
イタチキ川という川を渡り。
その後は川づたいに沢登となるらしい。
もちろん。
橋などない。
 

何が気掛かりかと言えば。
水位である。
すね。
それがひとつの目安だそうだ。
すねより水位があった場合。
危険なので行かない方がいい。
と、教えてくれたのはキャンプ場の管理人さんだった。

昨夜の雨で川は増水していないだろうか。
と、今はそれが一番気掛かりなのだ。
出発時刻になった。
細かい霧雨が風に吹かれて舞っている。
そんな中。
TAKAさんと自分は。
キャンプ場を後にしたのだった。

~続く

 

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