~ちゃりんこ日本一周サーフィンの旅 番外編 ~歩旅最果島紀行~ 第百八十八話 “ 島酒と回る地球と球技大会 ”  11-21~22

~ちゃりんこ日本一周サーフィンの旅 番外編 ~歩旅最果島紀行~
第百八十八話 “ 島酒と回る地球と球技大会 ”  11-21~22

夜の8時半頃だった。

今にも止まりそうな。
心細いエンジン音がキャンプ場に近づいて来た。
島の居酒屋さんの送迎車だ。
その車の中にはK1さんの姿もあった。
『はじめまして!』と挨拶を。
優しい笑顔がかえって来た。

車で5分程の居酒屋さんに向かう。

店内に入ると。
島人さん達が賑やかに泡盛を飲んでいる。
通された席で改めてK1さんに挨拶をした。

K1さんは西表島出身。
高校を出て福岡に出た時に波乗りに出会ったと言う。
その後沖縄本島で本格的に波乗りを始めたらしい。
そして今は西表島に戻り。

しばらく話をしていると。
昼間にお会いしたNさんと。
島のパイオニアHさんも来て下さった。
K1さんとHさんは幼なじみになる。

しかし波乗りを始めた場所はそれぞれ別だ。

それぞれが波乗りに出会い。
島に戻って来た時に。
島の波の存在に初めて気付いたと言う。

しかし。
最初は。
島で波乗りをすることは困難の連続だったらしい。
島人のお二人とはいえ。
理解を得るのに時間がかかったようだ。

今回の旅では。
波乗りについて詳しく書こうとは思わない。

なぜか。
それは大切にしたいからだ。

島の恵み。
島のローカルサーファーさんの気持ち。
大自然と未知なるものを。

今まで。
自分と一緒に旅を続けて来て下さった皆さんには。
その気持ちが理解していただけると思う。

この日の夜。
島酒に酔いながら。
島の波乗り話を聞けた事。
こんなに離れた場所にも波があり。
サーファーさんがいると言う事実。
そして今自分がその場にいる事。

それで十分だ。
と。
そう思った。

 

それから。
何本の島酒の瓶がこのテーブルを行き来しただろうか。

深夜3時頃。
キャンプ場に戻りテントに転がり込む。
地球がメリーゴーランドのようにぐるぐる回っている。

またしても。
この島で宇宙を感じた瞬間だった(笑)

こうして西表島の長い長い一日は過ぎて行った。

翌朝。
正確には翌昼。
不愉快な頭痛と共に目が覚めた。

キャンプ場備え付けのハンモックに揺られながら。
島の風に吹かれていた。

ウダウダと時間が過ぎて行く。
それもまたいいか♪
と、曇り空の下ではあるが。
そんな時間を楽しんでいた。

日も暮れた頃だった。
電話がなった。
K1さんだ。
『やなっち!バスケ行くよ♪』と。

そうして向かった島の体育館。
徐々に集まり出して来た島の人達。

最初は。
遊び感覚のバスケだと思っいた。
しかしそれは大間違いだった。
皆さんの目つきは真剣そのもの。
しかも上手い。
みんな上手い。

なんでこんなに上手いんだろう?
と思い聞いてみると。
『島には野球部とバスケ部しかなかったからさぁ~♪』
と…
なるほど。
つまり皆さんは経験者なわけだ。
これはなんだか大変な所に来てしまった…。

いやがおうでも手渡されるビブス。
そして吹かれた残酷なホイッスル。

自転車で数千㌔を旅する体力と。
室内競技で使う体力は。
全く違う。

マンツーで!
ゾーンで!
4ー2で!
謎の言語が飛び交う中。
ねこじゃらしを追いかけ回す子猫のように。
走り回った。

結局。
ただの一度もゴールネットを揺らすことなく。
自分の中の。
島の球技大会は幕を閉じた。

それでも。
島の人達と同じ時間を共有し。
汗を流せた事が嬉しかった。

キャンプ場に戻り。
心地好い疲労感にぐったりしていると。
ふわふわ~♪っと小さく柔らかい光が目の前を横切った。
蛍だ。
こんな時期に蛍が見られるとは思ってもいなかった。

改めて思う。
日本って広いなぁと。

夏を過ごした北海道はすでに雪が降っている。
そこから。
直線距離で3000㌔以上離れた熱帯気候のこの島では。
こうして蛍まで飛んでいる。

しかし。
こんなに離れた場所にも。
共通の価値観を持つ人がいて。
自分が行動さえ起こせば。
出会える喜び。
さらに思う。
世界ってどうなってるんだろう。
と。

いつか。
自分の目で。
世界を見て。
肌で感じて見たいなぁ。
と、このキャンプ場内のお気に入りのハンモックに揺られながら。
そんな事を考えていた。

ではまた!

 

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